SSS置き場 | ナノ


 (ひなと×)真夏と冬子

「どーしたの真夏、浮かない顔して」
「んー?」

浮かない顔、と冬子は言うが、真夏の表情はいつもと変わらない無表情である。幼馴染の冬子でなければその些細な変化に気付くことはないだろう。

別になんでもないと言いかけて真夏は目を伏せる。なんでもない、というより、大したことがないといった方が正しい。

「……女子ってなんで誰が誰を好きとか、そーいう話題が好きなのかなーって」
「仕方ないよ。そういうお年頃だもん」

真夏が気だるげな視線を送る先には、教室の隅で群れている女子のグループがあった。なにやら盛り上がっている様子だ。
その会話の内容を聞こうとしていたわけではないが、放課後の人の少ない今、そう距離もないせいか自然と耳に入ってしまう。クラスメイトの女子が、隣のクラスの男子と付き合い始めてどうのこうの、といった内容から、今は隣のクラスの女子と先輩が別れたとかいう話になっていた。

あちらの会話が耳に入ってしまうということは、こちらの会話もあちらの耳に入ってしまう可能性があるから、小声で。

真夏はこの手の話題が苦手だった。誰と誰が付き合おうが、誰が誰を意識していようが、誰と誰が別れようが自分には関係ないし、まして本当かどうか定かではない噂に尾ひれをつけてなにが楽しいのだろうと思う。
真夏自信が三次元に興味のない漫画、アニメオタクだという理由もあるが、中学生の時にクラスの異性と何度か噂になったからでもある。漫画やアニメの話ができるのが異性しかおらず、少し話していたくらいで好意を抱いているだとか既に付き合っているだとか噂されたおかげでどうにも苦手になってしまった。人の噂も七十五日というし、気が付けば違うクラスメイトが標的になっていて、それはそれでうんざりした。

「冬子ちゃんそーゆーの好きそうなのにあんまり話しないよね」
「うーん……正直興味はあるけど、好きってほどじゃーないよ……」

冬子は真夏と違って交友関係も広く、情報が早い。噂になる前の情報を持ってきては、真夏に話すことは何度かあった。しかしクラスメイトの女子と違ってそこから話を広げることはなく、聞いた情報を真夏に教えたらそれで終わりだった。

「でも真夏がどこまで進んだかは気になるかな!」
「……声が大きいよ」

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -