SSS置き場 | ナノ


 奏斗と音哉と大森

微妙におとかな



「なーんでパーカスって扱いひどいのかなぁ」

ため息交じりに奏斗がこぼしたのは定期的な愚痴。数ヶ月に一回のペースで同じことをぼやいている。

パーカッションの扱いがひどいのはどこの学校でもほとんど同じのようだ。
具体的にどこがひどいかというと、管楽器がチューニングしている時にティンパニをチューニングしていて音を出すと睨まれたり、数が多いせいもあって楽器を直してもらったり新しく購入することがなく、壊れかけた楽器を何年も使っていたり、もう一本が折れたりして一本しかないスティックやマレットが大量にあって使い物にならないなど、挙げればきりがない。

「パーカスがいなきゃ曲崩壊するのに」
「まあな」

ドラムやスネア、バスドラがしっかりしていなければ怒られるのも奏斗が嘆く要因のひとつだ。それらがしっかりしていなければ曲が通らないというのは分かっているが、ならもう少し扱いをよくしてくれてもいいのではないだろうか。
テンポキープが大事なそれらが少しでもずれれば怪訝な視線を送ってくるくせに、楽器を運ぶ時に重いだの数が多いだの文句を言ったりしてくるのだから矛盾している。
管楽器だってそれぞれに役割があって、どれも必要なのは分かるから悪く言いたくはないが、打楽器だってどの楽器も同じように必要だからあるのだ。だからもう少し優しくしてくれてもいいのではないだろうか。いや、心の中では思っていてもいい、せめて顔や口に出さないでくれたら。

「でもさー、俺も打楽器運ぶのめんどくせー! とか正直思ってたけどさ、パーカスにしか出せない音っていっぱいあるしやっぱ大事だよ。同じフレーズやっててもグロッケンの音はフルートとかには絶対に出せないし、タンバリンとかトライアングルとか、ああいう音ってどう頑張っても管には出せないじゃん」
「そうそう」
「大森ぃ……」

大森の言葉に相槌を打ったのは音哉。それが嬉しくて奏斗は隣の音哉に抱き着く。

「目の前でいちゃつくなよ!」

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