SSS置き場 | ナノ


 鳴海と奏斗

「ユーフォってずるいよなぁ」
「うぉっ、なんだ急に!」

 昼休み、ユーフォで適当になんか吹いてたら、それを聞いてたらしき奏斗が不意に呟いたからびびった。さっきから机に伏せて微動だにしなかったからてっきり寝てるもんだとばかり思ってた。

「音が聞いてて心地いいもん」
「そりゃーユーフォの語源は『良い響き』からてるからな!」
「知ってるぅ」

 奏斗は知ってるだろうけど、ってかユーフォ吹いてる奴ならほとんど知ってるだろうけど、ユーフォの名前の由来はギリシア語の"良い響き"からきてるんだぜ! 名は体を表すっていうけど、その通りだよな。俺もユーフォの音は大好きだ。だからユーフォやってるし。でも自分の音が好きかって聞かれると、まだまだ頑張りたいけどな。

「鳴海、『木星』吹いて『木星』。『ジュピター』やって」
「『木星』か。いいけど」
「なんか聞きたくなった。途中で寝てたらごめん」
「全然いいぞ!」

 単純に昼飯食った後だから、ってのもあるけど、自分の演奏で眠くなるって俺はうれしいけどな。ある意味それっていい演奏だったとも言えるし、やっぱユーフォの音って聞いてて心地いいし。

 "木星"といえば惑星の中で一番有名だから、聞けば誰しも「あー!」ってなるはず。歌詞もついて歌にもなってるし。吹奏楽用に編曲されたやつはやったことないけど、ひとりで吹いたことはあるから吹けることは吹ける。

 深く息を吸い込んで、ゆったりと吹き始める、誰もが聞いたことあるであろう、あのメロディ。奏斗が眠れる音を意識してみる。今日は雨の音も相まって、気持ちよく寝られるといいけど。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -