SSS置き場 | ナノ


 鳴海と音哉と奏斗と律

「おぉ……」

 律のハープの演奏に、思わず感嘆の声を漏らしたのは鳴海。その隣の音哉と奏斗も口が開いている。

 珍しく午前中で部活が終わった今日、いつもの仲良し四人組は、律の提案でハープで遊ぶべく律の家にお邪魔していた。

「そろそろみんなで遊ばない?」

 ホルストの木星を弾き終えて、律はにっこりと笑って首をかしげる。

「や、遊ばない? って言われても……」

 しかし、なぁ? と鳴海は音哉と奏斗に同意を求め、音哉はそれに頷く。

 律の家にあるものは、ハープと言われておそらくほとんどの人が思い浮かべるような、本格的ないわゆるグランドハープではなく、弦の数が少ないアイリッシュハープと呼ばれるものだが、ハープはハープなわけで。吹奏楽でハープを使う曲はあれど、鳴海に関してはまず目にしたのも初めてだし、音哉は中学校にあったといえど、さわったことはなかった。

「簡単な童謡くらいならみんな弾けるでしょ?」
「ま、まあ……きらきら星とかなら……」

 それなら、と律が鳴海にハープを手渡す。いきなりのことであたふたする鳴海に、律が構え方や手の形をなんでもないように教えていく。
 一通り教わったところで、鳴海は見よう見まねで赤い弦に人差し指を添える。はじいて出た音はなんとも情けなくて少し恥ずかしくなったが、律はただにこにこと笑っているだけだった。

 ふぅ、と小さく息を吐いて、おぼつかない手つきで鳴海は弦をはじく。ド、ド、ソ、ソ、ラ、ラ、ソ……拙いけれど、音が出る喜びに、鳴海の顔に笑みが広がっていく。演奏し終えると三人分の拍手が広がった。

「あ、そうだ。せっかくだしかえるのうたでも輪唱してみよっか」
「輪唱?」
「うん。じゃあねむのんとねこやん一緒にやろっか」
「え? 俺だけ公開処刑?」
「うふふ。でも上手だったよ」

 今度は奏斗がハープを構え、音哉と律が楽器の周囲に待機する。一番初めに奏斗が弾き始め、それを追いかける形で音哉、律と続くというわけだ。

 早速うきうきした表情で奏斗が弾き始めたが、さすがは奏斗といったところか、弦楽器は苦手と言っていたが、構えはしっかりできているし音も鳴っている。ドレミファミレド、まで弾いたところで音哉が同じメロディを弾き、また律が追いかけるの繰り返し。

「あー楽しいこれ!」
「……うん。楽しい」
「よかった」

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