SSS置き場 | ナノ


 鳴海と奏斗

「やっぱりユーフォっていいなぁ」
「だろ?」

 さて、俺の台詞は一言目と二言目、どちらでしょうか。正解は二言目で、一言目は奏斗だったりする。ユーフォの良さを分かってくれる人は誰だって大歓迎だ。吹ける吹けないは関係ない。

 本職はパーカスなのに、管楽器もできる奏斗ってやっぱすげぇなぁと思う。ユーフォに限らずひと通りどの楽器もできるからな。入部した当時、第一希望だったサックスを自在に吹いてる奴を見た時はちょっと嫉妬もしたけど。こう見えて俺、第一希望はサックスだったんだよな。ユーフォになったのはあとあとの話。だってやっぱ、サックスってかっこいいじゃん?

 まあ俺も一応トロンボーンはできるけど、中一の時にちょっとやってただけだから今はどうかな。あとユーフォ吹きがトロンボーンを吹くと、ユーフォみたいなまろやかな音になるっていうし。

「万が一俺が本番出られなくなったら、その時はお前にまかせるわ」
「いや、それは無理」

 半分本気、半分冗談で言ったら、真顔できっぱりと断られた。なんだよ、そこはのるところじゃないのかよ。

「何度も言ってるけど、俺はちょっと遊ぶ程度にさわれるだけで、ステージに乗れるまでの技量はないの」
「そう言うけどさぁ、俺はいけると思うんだけどな」
「無理無理。まあ半年くらいみっちり練習すれば乗れるかもとか考えたことはあるけど」

 そうなんかなぁ。まああんましむずい曲は無理だとしても、そうでもない曲ならいけると思うんだけど、甘いのか。

 てか半年で乗れるようになるならすげーなと思ったけど、初心者でも三ヶ月くらいで吹コン出る人もいるって考えるとそうでもないか。

「それに、仮に練習するとしたらその間ドラム封印しないといけないだろうしね」
「あー、それは無理だな。きつすぎる」
「だろだろ? その間ドラムの腕が落ちるのもやだし」

 確かに、それなら無理だ。俺でいうと半年の間ユーフォを封印するってことだろ? そんなん、生き地獄みたいなもんだよな。

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