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 ひなと×真夏

 飲み物を頼む時、真夏はいつも決まってメロンソーダだった。メロンソーダがメニューにある時も一応「何飲む?」とは聞くんだけど、やっぱり今日もメロンソーダを頼んでいた。

「じゃあ、俺もメロンソーダで」

 真夏の後に少し悩んでそう言うと、真夏が珍しく驚いたような顔をしたから、店員さんがいなくなった後に思わず笑ってしまった。

「真夏がいつも飲んでるから、俺も飲みたくなって」

 真夏が言いたいことは分かるから、先に答えておく。……これで違ったら恥ずかしいけど、頷いてくれたから合ってたらしい。よかった。

「失礼な反応してすみませんでした」
「いや、いいよ。カラオケでオレンジジュースを持って行ったら昼間と三日月に同じような反応されたことあるし……。俺だって普段コーヒーばっかり飲んでる人が、ある日突然ジュース頼んだらびっくりするよ」

 俺が普段よく飲んでいる飲み物はコーヒーか紅茶が多いんだけど、別にかっこつけてるわけじゃなくて、家族が家でよく飲んでて、俺だけ別の飲み物を用意するのが面倒になって、ついでに自分の分も作って飲むようになっただけ。昔はたくさん砂糖を入れてたし、牛乳を入れてカフェオレにして飲んでた時期もあった。最初から好きだったわけじゃないし、大人ぶりたかったわけでもない。そして特別好きというわけでもない。ジュースより飲む頻度が多いってだけ。時々ジュースも飲みたくなるし、そんな時は飲んでるよ。

「そういえば、真夏はメロンは好きなのか?」
「好きですけど……?」
「メロンソーダとメロンパンって、実際メロンは使われてないから、なんとなく気になって」
「あー、そう言われれば。本当にメロンが入ってるメロンパンも好きだけど、なかなか買えないしなぁ。会長が誕生日にくれたあのメロンパン、すっごいおいしかったからまた食べたいなぁ」
「そんなに美味しかったんだ? 喜んでもらえてよかったよ」

 そうこうしているうちに運ばれてきた、鮮やかな濃い緑色のメロンソーダ。しゅわしゅわ、炭酸が上ってはじける様子を見ていたら、ごくりと喉が鳴った。早速グラスにさされた赤いストローに口をつける。炭酸なんて久しぶりに飲んだせいか、それとも真夏と一緒だからか、すごく美味しくて、自分の顔がほころぶのが分かった。

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