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 ひなと×真夏

「そういえば真夏、そろそろ誕生日だったよな?」
「あー……そういえばそんなものもありましたね」
「そんなものって……」

 誕生日はいつも人に、っていうか主に冬子ちゃんに言われて存在を思い出す。私の誕生日は五月五日でゴールデンウィークの真っただ中だし、もう子どもって年齢でもないけど五月五日といえば子どもの日だし。

「誕生日プレゼントに欲しいもの、何かある?」
「うーん……」

 いつも会長にはなんだかんだとおごられてたりするから、誕生日だからって気を遣わなくてもいいですと思う反面、会長ならなんでも買ってくれそうだななんて、漫画でよくある自分の中の天使と悪魔がけんかを始める。
 会長、お小遣いはたくさんもらってるけど趣味に使うといい顔されないから持て余してるんだって。だから一般的な高校生のプレゼントの相場より高いものを頼んでも、自分のせいで恋人らしいことができないからっていういつもの理由で買ってくれそう。……悪用する気はないよ。

「メロンパン」
「え?」
「すっごくおいしいメロンパンが食べたい」

 予想通り会長は、なんだ、そんなもの? とでも言いたげな顔で私を見る。

 会長は、デートの時に必ずなんでも下調べしてくる。どこのレストランにどんな期間限定メニューがあるとか、あそこのお店はランチタイムにデザートがサービスになるとか、行くところ周辺のお店をくまなく細かいことまで調べてくる。
 だから、私の好物であるメロンパンをお願いしたら、いろいろ調べて私が今まで出会ったことがないメロンパンに出会えるかもしれない。調べる手間はとらせちゃうけど、メロンパンなら高級でも一個千円はいかないだろうし、私の精神的負担は少ない。

「分かった。真夏、メロンパン好きだもんな」
「メロンが入ってても入ってなくてもいいので、とにかくおいしいメロンパンが食べたいです」
「真夏の好みに合うのを見つけられるかは分からないけど、探してみるよ」

 早ければ連休が明けたら会長セレクトのおいしいメロンパンが食べられるわけだけど、メロンパンメロンパン連呼してたらお腹が空いてきた。

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