SSS置き場 | ナノ


 音哉と奏斗(中学生)

世間の学生は夏休み真っ最中だが、吹奏楽部にはそんなもの関係なかった。夏休みに入ってもほぼ毎日部活のために学校に通っていた。

「あ、おはよー猫柳くん、合歓木くん」
「わー二人とも髪切ったんだね! すっきりしてるー」

与えられた数日の休みに、やったことはみんな同じだった。音哉と奏斗だけではなく、部員全員が髪の毛を切ってすっきりした頭になっていた。

「音哉かなりすっきりしたよねー。やーいイケメン」
「もともとこのくらいだったんだが。つーか、今日の朝お前見た時びっくりした」
「俺も俺も。頭が軽くなった気がする」

毎日顔を合わせているせいか、髪が短くなったみんなを見るのはなんだか新鮮な気分だった。音哉の言っているようにこの状態が元の長さなのだが、どうも見慣れない。顔を合わせるたびにみな同じことを言っていた。

髪を切るのは何ヶ月ぶりだろう。かなり久しぶりのような気がした。夏休みのような長期休暇もだし、土日も基本的に毎日部活で学校に通っているから本当に行く暇がないのだ。ましてやコンクールの時期となれば練習も厳しくなるから尚更だ。女子からヘアゴムを借りて前髪をパイナップルにして練習していたのが懐かしく感じる。

「すっきりさっぱりしたところで、コンクールに向けてまた頑張ろうぜ」
「そうだな。期待してるぞー奏斗」
「おーいプレッシャーかけないでくれよー」

おどけたような口調で会話して、何がおかしいわけでもないのに笑い合う。

コンクールまであと少し。まだ朝方だというのに、全開の窓からはセミの鳴き声が聞こえてきた。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -