「なあ三日月、今週の日曜日なんだけど」

なーんか言いにくそうな顔してひなちゃんにそう切り出されて、オレはすぐにピンときたね。

「一度断っておいて申し訳ないんだけど、やっぱりお前の家に行ってもいいか？」
「あれー？　日曜日は鳥海ちゃんとデートするんじゃなかったのー？」

あえて意地悪して聞いてみる。お前性格悪いな、とでも言いたそうな目してるね？　ひなちゃんのそういう目、キライじゃないよ。

昨日、日曜日にオレの家で映画でも見ない？　って誘ったら、その日は久しぶりの休みだから鳥海ちゃんとデートするんだって張り切ってたのは誰だっけ？

「その日は楽しみにしてたゲームの発売日だから無理なんだって」
「げ、ゲームの発売日？　……はあ？」
「真夏の楽しみは邪魔したくないし。俺も漫画の発売日は同じ気持ちだしさ」

ざまあって草生やして笑ってやろうと思ってたら素が出た。
ゲームの発売日だからって断る鳥海ちゃんもだけど、それなら仕方ないってなるひなちゃんもどうかと思う。普通デートを優先するでしょ。久しぶりの休みならひなちゃんももっと強引にいけよ。迫れよ。……いろいろと突っ込みたいけど、何から突っ込んでいいのかわかんなくなってため息しか出なかった。

「一回断ってるし、もう他の予定入れてるんだったら無理は言わない」
「いや？　他の予定は入れてねーよ？」

オレも日曜日は久しぶりのオフだから、家で映画でも見てゆっくり過ごそうと思ってて、どうせならひなちゃんたちも呼ぼうかなって思ったから他に人も呼んでないし、予定が変わったりもしてない。ちなみにゆうちゃんは日曜日は部活の練習試合らしくてダメだった。残念。

「そーいうことならひなちゃんを慰める会でも開いてやっか」
「余計なお世話だっつの。昼間だったらともかく、三日月に慰めてもらうとか気色悪いしやるんだったら行かねー。……っていうか、女呼んでないだろうな？」
「呼んでほしかったら呼ぶけど？」
「呼ぶんだったら行かねーからな」
「冗談だって」

ほんとに女の子呼んでやろうかなって思ったけど、かわいそうだからやめておく。オレにだって一応良心はあるからな、一応。