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 鳴海×律

ねこやんの部屋に遊びに行った時、机や棚の上、壁に掛けられたコルクボードにいっぱい写真が飾ってあった。吹奏楽コンクールなんとか大会でゴールド金賞を取った時の記念写真から、小学生、中学生、高校生と入学式の日に撮ったらしい、ねむのんとのツーショット写真。ぴしっとのりのきいたブレザーは体になじんでなくて、真新しい制服に緊張しているのかそれとも照れくさいのか、二人の表情がどことなく固くて初々しくて思わず顔が緩んだ。

ほとんどが部活の写真で、チューバは大きいからかあんまり映ってないけど、ねこやんはほとんどスティックを持っていた。大会の時に撮ってもらう写真から、文化祭、コンサート、定期演奏会、それから普段の練習の時に撮ったらしい写真までとにかくいろんな写真があった。お互いの両親や学校の先生、友達から、仲がいいから一緒に撮ってあげるよってなるんだろうな。

ねむのんはねこやんと違ってあまり表情を出さないタイプだけど、そんなねむのんが写真では、ねこやんの隣では笑顔を見せていて、二人の仲の良さが伝わってくるのがとにかく羨ましかった。

僕は写真を撮るのが好きで、遠足とか、体育祭とか、ことあるごとにスマホを持って仲のいい人に迫ったりする。だから写真はたくさんあるんだけど、なるみんと二人で映ってる写真は数えてみるとそれほどなかったりする。なるみんだけのとか、なるみんと僕の他にも誰かが一緒に移ってるのとかは多いけど、二人だけとなるとほとんどない。

「え? しゃ、写真? ……俺の?」
「それも欲しいけど」

欲を言えば、なるみんの写真も欲しい。ねこやんはねむのんの秘蔵フォルダを、ねむのんはねこやんの秘蔵フォルダがあるみたいに、僕もこっそりそんなフォルダがある。変な写真はないけど、ユーフォ吹いてる時のなるみんとか、本人は撮られたことに気付いていない、言うなれば盗撮したやつ。

「二人で映ってる写真が思ったほどなかったから、欲しいなって」
「そうだっけ!? 俺もりっちゃんと一緒の写真は欲しいしそれはいいけど、今撮るの?」
「……どうしよう」

今撮ったっていいし、二人で撮ればそれはツーショットになるけど、普通の日に普通の場所で写真を撮ろうとはなかなかならないよね。

「んじゃーさ、せっかくだからどっかデート行く? そしたら自然と写真も撮りたくなるだろうし、最近してなかったし」
「デート! うん、そうしよう!」
「どこに行く? りっちゃんは何したい? あといつにする?」

小学生の時からずっと一緒だったねむのんとねこやんにはかなわないけど、その分これからたくさん思い出を残していけたらな。

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