「アランシアー、ねえ、今日バイオリン弾いてもいい?」
「いいよ〜。私、ハープやるから〜。一緒に弾かない?」
「いいね、やろうやろう」
「何かあいつらの会話を聞いてると眠くなるなぁ」
「ユズって結構他人に釣られやすいからね……」
「じゃ、行くよアランシア」
「うん。せーの」
「……へえー。ユズ、バイオリン弾けるんだな。てか普通に凄くね?」
「ん? キルシュ知らないの? ユズっていろんな楽器を扱えるんだよ。バイオリンにフルートにハープにピアノにサックスに」
「すげえな、何でもできるのかよ」
「あと絵も描けるんだよね。料理もできるし」
「まさに完璧だな。あいつ成績も優秀だしよー、ほんと弱点がねえな」
「まあね。ただ……」
「……んー、やっぱりアランシアは凄いなあ」
「どうして〜? ユズも凄かったよ〜?」
「……いや、駄目だ。私、できはするけどそこまでなんだよね。あれだよ。そこそこできるけどそれ以上の高みには行けないんだよね。中途半端だわぁ」
「そんな事ないよ〜? ユズと一緒に演奏するの楽しいよ?」
「アランシア……有り難う」
「さ、もう一曲やろ?」
「うん!」
「――と、本人は悩む事もあるみたいだけど」
「俺としちゃ毎回テストで百点を採れるだけで充分に羨ましいんだが」
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