「何かせっかくみんなでキャンプファイアーやりながら和気藹々と楽しい思いをしていたのにどうしてこうなるのかな全く」

「仕方ないですのユズちゃん。くよくよしてたって仕方ありませんの」

「うだうだ言っててもしゃーねえだろ? 今は進もうぜ」

「うん……でもさぁ、食べたかったなあ。キルシュの……」

「ん? 俺の?」

「……キルシュの魔法で焼いた魚」

「それどんだけ前の話だよ!? いや確かにそういえば釣って焼いたな魚! まさかそれまだ根に持ってんのか!?」

「だって、あのこんがりと焼いた身、程良くとろけた脂身……おいしそうだったのに。あんまりおいしそうだったからこっそりキルシュの分もくすねて食べようと思っていたのに」

「食うなよ!」

「帰って食えばいいだろ? とにかく行こうぜ! 光属性のあんたがこの中じゃ一番強いんだからさ!」

「んー……」

「……ユズちゃん。残してしまったお魚はもう仕方ありませんの。せっかく頂いた命を無駄にしてしまった痛みは、確かに辛いものですの」

「ペシュ……」

「ここで頑張って元の世界に帰って、お魚に謝りに行くんですの。せっかく頂いた命を、きちんと頂けなくて御免なさい、と」

「……うん。うん! 有り難う、ペシュ!」

「元気が出たですの? 何よりですの」

「ユズ、意外と繊細なんだな」

「どんだけ気持ちの悪い虫が引っ付いても頑張ってセサミの所に行って剥がすなり捕まえるなりしてもらってるしな。細かいところにはこだわるというか」

「こだわりすぎて首絞めなきゃいいけどよ……」

「大丈夫だって。あいつ私らに隠せるほど器用じゃねえから。限界っぽいって感じたら私らが何とかすりゃいいだけの話だ」

「あ、そっか。そうだよな。あいつ隠し事とかできねえしな」

「むしろ露呈する馬鹿だしな」

「だよなー」

「……ねえ二人とも、私の事を大事に思ってくれているのけなしているのどっち」

「大事なんだよ」

「同じく」

「私も大事!」

「私もですの!」

「何だよ、二人していきなり勢い付いて」

「でもまあ、俺らのテンションってこんな感じだよな、基本」







 





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