「あっ、ユズ！」
「ん？ なーにセサミ？」
「そこ動くなよ」
「え？ 何？」
「……っと。よし、もう動いてもいいぞ」
「何があったの？」
「ユズの背中に虫がついてたんだよ。ほらこいつ」
「っ!? ひ――」
「スマートじゃないなあセサミ、女の子にそんなものを見せるなんて」
「何だよ、これすっげー珍しいやつなんだぞ」
「でもそんな蛾を見せられてもねえ……ユズ？」
「えっ？ あ、いや、うううううううううううん、べべべべべ別に平気だよ？ 大丈夫だよ？ うん、うんうんうんうん」
「分かった分かった、そんな高速で頷かなくても分かったから。はいはい、ユズは背中に蛾がいてもビビりはしないし、むしろセサミがそれ取れたから良かったと思っていると」
「そそそそそその通り、うんマジだよセサミ超マジだから」
「分かったての、てか口調が全然違うぞユズ」
[前] [次]
戻る