そんな、こんなのあんまりだよ、シンクちゃんもみんなもがんばってがんばってルルサスとシドをたおしたのに、なんで、なんでしななくちゃいけないの。

 もっといきたいよ。もっとみんなといっしょにいたい。

 しにたくないよ。

「シンク」

 あ、トレイ。

 トレイはいつみてもかっこいいね、ほんとおうじさまみたい。

 トレイはちいさいころからシンクちゃんのおうじさま。

 おうじさまみたいにおだやかにわらうし、ものごしもおだやかだし、あたまもいいし、ゆみだってあつかえる。

 シンクちゃんのだいすきなおうじさま。

 マザーのところにきてばかりのころ、ひとみしりでなかなかみんなのわにはいれなかったわたしにはなしかけてきてくれた、とってもやさしいひと。

「大丈夫ですよ。泣かないで、……いえ、泣いたっていいんです」

 トレイが、ぎゅってだきしめてくれた。

 あったかい。

 それに、せなかにうでをまわされると、なんだかこいびとたちのハグみたいで。

 なんだかそれがとってもうれしいの。

「ね、ねえ」

 あ。どうしよう、なみだがとまらない。

 ひっしにこえをだしても、しゃくりあげながらになってしまう。

 けど、トレイはせなかをやさしくなでてくれた。

 トレイはほんとにわたしのおうじさまだね。

「トレイ、は、ず、っと、いっ、しょ?」

 それだけかなうんだったら、もうほかにはなにもいらない。

 トレイがいっしょにいてくれたら、もうさびしくなんてない。

 からだのすみからしみていくつめたさも、こわくない。

「勿論」

 そういってわらったトレイは、ああ、やっぱり、おうじさまみたいだった。

「私はずっと貴女と一緒にいますよ」

 って、ひたいにキスしてくれた。

 わあ、すごいきざ。

 でもなんかトレイらしい。

「ね、手、繋いで」

「ええ」

 ぎゅって、こいびとみたいに、ゆびをからめあう。

 はじめてつないだトレイのゆびはおもったよりかさかさしていて、ごつごつしていた。

 いまさらだけど、トレイっておとこのひとだったんだね。

「だいすき」

「ええ。私も愛しています」

 うれしい。

「私の世界は、最初から貴女が中心なのですから」

 あれ?

 ひょっとしてシンクちゃん、トレイにものすっごくあいされてたフラグ?

 うれしいなぁ。

 シンクちゃんのせかいもね、トレイがちゅうしんなんだよ。

 トレイをちゅうしんに、せかいはきれいにそまっているの。

 いまはもう、ちとか、ぶきとかで、いっぱいだけど。

「……ねむ、い……」

「そうですね。……お休みなさいシンク、私もすぐにそちらへ行きますので」

「……ん、うん……」

 おやすみ、トレイ。

 またあおうね。ゆめのなか、とか、きれいなせかい、とか、そんなばしょで。
 

 

 



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