諦めたら終わりって言葉があるよね。

 私はあれはまさしく正論だと思う。

 諦めたらおしまい。

 諦めたら、続ける事を放棄したら、もうその先の未来を望めなくなってしまう。

 それは、やだな。

 私は諦めたくない。

 戦うのは怖いけど、こんな時代だから、戦わなきゃ前に進めない。何も変わらない。

 あの時、もう会えないって思ってたマキナと再会できた時、一緒にルシに立ち向かった時、負けてしまったけど、思ったんだ。

 マキナを守りたいって。

 一緒にいたいって。

 その芯だけはずっと心の中にある。

「だから、ね、大丈夫だよマキナ。マキナは私の事を守るって言ってくれた。私も同じ気持ち。だから絶対に大丈夫」

「大丈夫なんて……そんな確証は無いよ、レム」

「大丈夫だよ。マキナも私も同じ気持ちで、お互い分かっていて、伝え合えている。だから大丈夫」

 もし死んだとしても、私の心は貴方の中に、貴方の心は私の中に残る。

 だって同じ気持ちを持っているんだから。

 大丈夫。

 ……だけど、0組に配属されてから、マキナは私が何を言っても生返事ばかり返すようになった。

 マキナはマキナの思いで動いている。

 それに、こんな激戦の中じゃ、誰だってストレスやフラストレーションは溜まる。

 だから、そっとしておいた。

 そうしたら。

 そしたら。

「クリスタルは、朱雀からアギトが生まれる事を望んでいる……」

 アギトより、あるいは遠い存在と思っていたルシに、私達は選ばれて、そして激突する事になった。

 どうしてこんな事になっちゃったんだろ。

 始まりは同じだった。

 途中で抱えたものも同じ。

 多分、0組のみんなだって、私やマキナとあんまり変わらない。

 ただ守りたかっただけ。

 なのに、どこから違ってたんだろ。

 今はどうしてこんなにバラバラなんだろう。

 どこから間違ってたんだろ。

 ……ううん、違う。

 きっと間違ってなんかない。

 0組のみんなは、今もしっかりとチームを組んで行動している。

 私は置いて行かれただけ。ううん、気遣われて、安置された。

 あの頃から、今も、同じ方向を見ていた。でも違う道を歩いただけ。

 それだけなんだよね。

 だったらここからは大丈夫だよね。きっと同じ方へ、同じ道を、歩いて行ける。

 ほんのちょっと我儘を言っておねだりしたら、マキナ、手を繋いでくれるかな。

 そうしたらもうはぐれたりしないよね。

 その周りで、0組のみんなも、いてくれたら、いいな。

 私にとっては0組のみんなも大切な友達だから。

 だからみんなで一緒にいたい。

 諦めたくないの。

 血塗れの私を抱え上げて、マキナが抱き締めてくれた。




 



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