ぷかり、と気泡が浮かんで、水の表面へと上っていく。
気泡が浮かんだって事は、俺は息をしているって事かな、とティーダは漠然と思った。
分からない。
どうして水の中で呼吸ができるのか。
どうして地上と同じような感覚でいられるのか。
だけど。
でも。
「ティーダ」
「ユウナ」
ここではユウナと一緒にいられる。
手を伸ばして、掌を重ね合わせて、指を絡ませると。
その間に少しだけ感じる水の抵抗。
ユウナの目尻から、水なのに、水と混じらない不思議な一滴が零れ落ちる。
「大丈夫っスよ」
腰を抱き締め引き寄せて、目元をぺろりと舌で舐めると、愛しの彼女はくすぐったそうに笑った。