覚えている。

 思い出している。

 友の事、仲間の事、元の世界での事、……彼女の事。

 考え出すと、きりが無い。

「クラウド、どうしたんだ?」

 思考に耽っていると、視界の中にバッツがひょっこりと顔を出してきた。

 今の世界での仲間達は、ある程度、気心が知れた仲だ。

 だから遠慮なく「別に」と短く返す。

 端から見れば素っ気なく突き返したような無愛想さだが、今の自分には会話を連ねる余裕が無い。

 果たしてバッツはクラウドの気持ちを読み取ってくれた。

 そっか、と彼も短く頷き、

「じゃ、あっちにいるからな。何かあったら呼べよ」

 と、そっと去り、一人にしてくれた。

 有り難い。

 クラウドは溜息をついて、胸の内に溜まる凝りに、再び神経を向けた。

 だから彼には知りようがない。

 大人しく立ち去ってジタンやスコールの元に戻ったバッツが寂しそうに俯いた事も、それを見て見ぬ振りはできずにジタンが宥め始めた事も。


 

 
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テーマ「人外ファンタジー」
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