フリオニールは、快楽に弱い。

 異性の扱いに慣れていないのは以前から知っていた。

 まだ単なる仲間であった頃から、彼の、召喚獣であるシヴァに対する戸惑い方は、仲間内でも格好のいじりのネタだったから。

 あの時、ふと思っていた事がある。

「ふふ」

 ひょっとしたら、気持ちイイ事とか弱いんじゃないのかな、って。

 予想は当たってた。

 キスをする度に、こんなタマラない顔をしてくるんだから。

「セシル……」

 息を必死に整えて潤んだ瞳で見上げてくる彼は、しっとりとした色気を放っている。

 くらくらして、どうにかなってしまいそうだ。

 彼の顎にそっと手を添えると、応じて彼が目を閉じる。

 可愛い。

「御褒美」

 唇ではなく首筋にキスを落とすと、フリオニールがびくっと震えた。

「ひ」

 目尻からポロリと滴が転がり落ちる。

 それを舌で舐めると、不意に部屋のドアがガチャリと開いた。

「セシルー、今日の午後なんだけどさ」

 バッツだった。

 仲間にイチャイチャの最中を見られて、フリオニールがぴしりと凍りつく。

 僕は敢えて笑みを作ったまま、バッツに言った。

「分かった。先にリビングに行っててくれるかい?」

「オッケー」

 果たしてバッツはさらりと流してくれた。こういうところは、まあ流石は二十歳って言うべきかな。

 けどやっぱりバッツはバッツだった。ドアを後ろ手に閉めて去って行く直前、いらない置き土産を残して行った。

「セシルの白い肌にフリオニールの褐色の肌が重なってて、めっちゃエロかったぜ」

 パタン、ってドアが閉まる。

 僕は割と真面目に考えた。

「バッツも加わりたいのかな」

「そっ、そうなのか!?」

 真面目に答えちゃう辺りがフリオニールだよね。 



 

 
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