「スコール!」

「スコールぅぅ〜」

 とたたたたた、と軽やかなステップを踏んで、コスモス陣営の花の二人、ジタンとバッツがスコールの元に駆け寄る。

 床の上に胡坐を掻いてガンブレードの手入れをしていたスコールはその足音を聞くや否や急いでテーブルの上にガンブレードを置いた。

 そして振り返ろうとした直後。

「お早う!」

「おはよっ、今日もイケメン!」

 二人がタックルして抱き着いてきた。

 飛びつく直前のジャンプしてからの勢いに二人分の体重が容赦なく加算されるが、スコールは全く揺るぐ事無く、二人を腕の中にしっかりと抱き留めた。

 見た目は細いのにがっしりと受け止めてくれる恋人に、バッツはくすぐったそうに笑って肩口に顔を埋め、ジタンはスコールの腰元から背中へと腕を伸ばして抱擁を求めた。

 スコールは二人の背中に腕を回し、きつく、しかし壊れないようにと、柔らかく温かい女性の身体を持つ彼女達を抱き締める。

「お早う。バッツ、ジタン」

 バッツがぐりぐりと額を押し付けてすんすんと小さく鼻を動かし、ジタンはスコールの腕に巻きついてきゅうっと抱き締める。

 肩にバッツの吐息を、左腕にジタンの柔らかさを感じながら、スコールは無表情のまま二人をただただ受け止める。

 と、スコールの匂いを存分に堪能したバッツがそっと離れた。

「スコール」

 熱を帯びて潤んだ眼差しを向け、両手をスコールの頬に添える。

 応じてスコールが顔を近づけると、赤らんだ頬でバッツは目を閉じた。

 唇に、無防備な柔らかい感触。

 ん、と一呼吸を置いて離すと、間近な位置にスコールの端正な美貌があった。

 旅を経てそれなりの人生を生きてきたバッツの胸が、初心な少女のようにどきりと高鳴る。と、

「ん〜ん……」

 ジタンの甘い声が響いた。

 バッツが見てみると、彼女はスコールの腰元にじゃれつくようにひっついていて、スコールのその手が優しく髪を撫でていた。

 スコールの体温が直に染みて心地良いのか、ジタンの尻尾は緩やかに揺れている。

 スコールの手がジタンの頭部から首筋へとそっとなぞり、背中まで伸びて、尻尾の先端に淡く触れる。

 ジタンの身体がぴくりと跳ねた。
  
「やあだ、スコールのえっち」

 骨張っているのにどこか優美なスコールの指先がジタンの尻尾の先を優しく刺激する。

 弱い部分をくりくりと捏ねられ、ジタンの身体に熱が走った。

 頬に赤みが差した彼女は力が抜けたようにスコールの腰元にもたれかかる。

 ん、と何だか色っぽい声が漏れた。

「はーいもうそろそろ作戦会議を始めるよ三人とも」

 その三人の空気を打ち壊すようにみんなのお兄さんセシルがパンパンと掌を叩く。

 すると三人はあっという間に戦士としての顔に戻った。

「じゃあ行こうか」

「ああ」

「今日は哨戒だっけな〜」

 いちゃつきつつも戦士の自覚は忘れない。

 でもできるなら見せつけられる周りの事も考えて欲しいんだけどなぁと、セシルはこっそり溜息をついた。




 

 
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