楽しい事かぁ。
いいね。一杯、考えよう。
まずケイトの言う通り、マザーを連れて白虎や青龍に行ってみたい。
そしたら、そこで色々なものを見るんだ。
人とか、地面とか、建物とか。色々なものを、たくさん見たいな。
それでね、お勉強もしてみたい。
こう見えてもシンクちゃん、本は読めるんだよ?
報告書は再提出ばかりだったけどね〜。
お勉強は、うん、武器や魔法の使い方じゃなく、それ以外の事を知りたいな。
例えば、何で花は咲くの、とかさ。どうして空は青いんだろう、とか。
あ、トレイ、答えを知ってるからって語っちゃ駄目。
勉強していて、分からなくなった時、ちゃんと聞くから。
ね。
だから、ずーっと傍にいてね?
痛い。苦しい。辛い。死にたくない。怖い。
終わりが見える。もう、すぐそこだ。ふっと気を抜けば、簡単に落ちてしまいそうなくらいに。
しかしここで寝てはいけません、もう少し辛抱しなくては――ああ、それでも……ひどく疲れて、眠い、ですね……。
うと、と眠りかけた時、視界に空が見えました。
私達がこんな風になっているのに、知った事じゃないと言わんばかりにいつものように広がる空。
今日はちょっぴり憎たらしいですね。
少しは悲しんでくれたらどうなんですか。
朱雀のためにあれほど戦ったというのに、私達の結末は――……ああ、でも、これでも構いませんね。何せ皆と一緒に戦い切り、そして次へと繋げられたのですから。
どう死ぬかという事は、どう生きるかという事でもあり。
生まれる時代は選べませんでしたが、生き方も死に方も、こうして貫き通せました。
ふふ。
何やら不思議です。自分でも怖いくらいに穏やかな気持ちです。
そうですね。
戦い以外の事を学ぶというのなら、私は、それこそたくさんの事を学んでみたい。
戦い以外なら何でもいいのです。歴史、心理学、経済学、地理、自然学も、面白そうですね。
どうして花は咲くのか、とか、どうして空は青いのか、とか。
そんな、普段なら疑問に思わない事を、もう一度調べ直してみたい。
そうしたらシンクに話しましょう。
どうして花は咲くのか。どうして空は青いのか。
いえ、もしかしたらシンクは自分で勉強するかもしれませんね。でしたら、分からないところがあったら、そこを教えましょう。
他にもたくさん、勉強以外の事も、もっと話したいですね。
――何やら、本格的に眠い、ですね……。
え? マントを結び合って、旗を作る、と?
それは素晴らしいアイディアですね。そうしましょう。
私達のマントで、私達の旗を立てて。
きっと歴史という大いなる流れは、私達の事などすぐに忘れてしまうのでしょう。
飲み込まれたら、きっと、私達の存在などすぐに薄れていってしまう。
それでも、皆と立てたこの旗が証明してくれます。
私達は、0組は、ここにいて、ここにいた、と。
……おやシンク、眠いのですか?
実は私もとても眠いのです。少し休みましょう。
次に目を覚ました時は――きっと、0組の皆と共にいて、共に過ごす、あの暖かい日常の中だと。そう信じています。
だから、そこでまた、会いましょう。
分かってはいるんですが、0組のあのEDは本当に悲しかった。
だけど、マキナの行動も決して間違っていたわけじゃないと思います。
ただ、結末は、ああだったけど。