「えいっ」
「――っと。……何だ、ジャックか」
「えへへぇー」
後ろから抱き着いた時、呆れながらも微笑んでくれるエイトが可愛い。
僕の腕で、すっぽりと抱き締められる事が嬉しい。
「エイトー、エイトぉー」
エイトの首筋に顔を埋めてうりうりと頬擦りする。
「馬鹿、やめろ、くすぐったい」
「やだ」
だってエイトっていい匂いがするもん。
甘くて柔らかくて、何かこう、身体の奥がムズムズするような。
いつも僕を甘やかしてくれる、優しい匂い。
「ねえねえ」
「何だ? ――つっ!」
かぷりと噛んでみた。あ、甘い。柔らかい。
でも唇を離すと、エイトの綺麗な肌にくっきりと歯形がついていた。
あーあ。
「肌、綺麗なのについちゃった」
「お前がつけたんだろ! というかどうして噛む!?」
「だぁって甘い匂いがするからー、お菓子かと思って」
「俺は人間だ!!」
でも、甘くていい匂いがするんだよ。
僕を惹きつける、ふわりと濃く匂う、バニラビーンズみたいな匂い。
「ねえ僕の部屋に行こ? エイトをベッドに押し倒してもっとくんかくんか匂い嗅ぎたい」
「変態か!!」
嫌だと叫ぶエイトを無理矢理に連れて行こうとすると、エイトの悲鳴を聞きつけたケイトに属性弾をぶっ放されました。まる。
「もう、邪魔しないでよ!」
「あんたが変な事を言ってエイトを怯えさせるからでしょ!」
「俺、匂いとか何もしないのに……」
「あっ、自分の襟元に鼻突っ込んでくんかくんかやってるエイトマジ可愛い……!」
「取り敢えず、もう一発喰らっとく?」
ケイトはエイトの姉貴分、という設定です。