お互い、望んで決めた道だった。
この道を進むということも。
たとえ別の道を進むことになっても、それを決めたのは自分だからこそ譲れないのだということも。
お互い心のどこかで覚悟していて、納得し、そして決めた道だった。
だから後悔はしていない。
恋をしたことも、愛したことも――別れることも。
全て。
「だから、お願い金吾、中途半端に僕に会いに来ないでね」
「お前こそ、僕を見かけても声をかけないでくれよ」
ああ、だから後悔しない。何一つ。
君と出会ったことも、君と恋をしたことも。全て。
その全てを飲んだ上で、己の夢へと歩くのだから。
祈る
だから、もう友には戻れない友へ。
二度と互いの道が交わらないよう、祈っている。
[前] [次]
戻る