最初は唇を重ねて。
舌を触れさせて、絡めさせて。
ゆっくりとお互いをなぞりあって、少しずつ唾液を交換し合う。
「ん……」
不意に伊助が体制を変えた。唇を重ねながら、虎若の腕に抱きしめられたままするりと彼の身体の上に乗る。
つつ、と剥き出しの虎若の胸板を手で沿うようになぞりながら、
「ねえ」
不意に唇を離す。
湿った温もりが急に途切れた虎若はきょとんとしつつ、快楽に薄く曇った目線で「何?」と尋ねる。
「今日は、さ」
唾液にまみれた舌を引っ込め、鼻にキスをする。
「軽くじゃなくて、きつく抱き締めていてね」
「……おけ」
こく、と虎若が頷く。太い両腕を伸ばして伊助の背中に回し、
「寝返りも打てないくらい抱き締めてやるよ」
乱暴とさえ言える力で引き寄せた。
ずっと抱きしめたまま
「勝負しようよ」
「ん?」
「最初にキスをやめちゃって寝ちゃった方の負け」
「んー……」
「わっ、ちょっ、何で急に元気に……わぷっ」
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