たまに。
たまに、こう、心臓がぎゅーっと締めつけられて、どうしようもなくどきどきすることがある。
それは例えば、目が合った時とか。
にこって笑ってくれた時とか。
見つめ合っている時とか。
手を繋いでいる時とか。
髪に触れてきてくれている時とか……。
「――伊助」
虎若の顔が近づいてくる。暗黙の了解ってやつで私は目を閉じる。
目を閉じると、キスした時のふわりとした空気の動きとか、頬に当たる髪とか、押し付けられる唇の柔らかさとか、熱とかを、強く鮮明に感じ取ることができる。
でも、今日は何故か周りからトゲトゲとしたものが感じられた。一直線の線のように私と虎若の方へと向けられている。
何だろうこれ、と考えて、私は気づいた。
唇を離し、目を開けた虎若が苦笑する。甘い笑顔で、
「――教室だったな、ここ」
人の目も考えず
「少しは気にしようね二人とも」
「「御免、庄ちゃん……」」
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