【舞台当日】
庄「いよいよ本番だね」
兵「頑張ろう。は組、ファイヤー!」
三「……庄監督! 大変、ドクタケがやってきた! 何かおでん食べながら忍術学園が油断している隙に奇襲してついでに舞台を台無しにするって!」
庄「何だって!?」
兵「じゃあいいや。虎若、山賊役になったドクタケをやっつけて」
虎「よっしゃ」
兵「あー、でも人数が多すぎて間に合わないかも……よし金吾、行って!」
金「僕!?」
兵「衣装はあるから! これ虎若用に作った一着目だけど、このチェーンとベルトでサイズを締めて……っと。よしこれ着て!」
金「わ、わかった」
庄「設定変更。金吾と虎若はお城の上級警備隊で」
虎「謎のヒーローじゃなくて?」
庄「それじゃイレギュラー配役が増える。ちゃんとシンデレラに絡ませなきゃね」
虎「成程。じゃあ行ってくる。――失せろ八方斎!」
き「虎若、殺すなよー」
兵「でもって口説くシーン! ……あれっ、ねえ喜三太が戻ってこないんだけど!?」
三「十秒後に喜三太と金吾にスポットライト。乱太郎、行くよ」
乱「う、うん」
伊「あ、あれ、庄ちゃんに乱太郎!? 何で!?」
乱「煙幕を焚いているうちに着替えて!」
庄「三次郎が急遽台本を替えたんだ」
伊「けど台詞は!?」
庄「虎若、好きに口説いていいよ。君のアドリブ能力に任せる」
虎「ほい了解」
伊「ええーっ!?」
【打ち上げ】
兵「かんぱーい!!」
乱「みんな、お疲れ様」
き「いや、みんなよく頑張ったな」
庄「学園長先生も褒めてくれてたよ。……アドリブであの口説き文句は大したものだと」
虎「どうも」
伊「うあああああ」
兵「伊助、何をうなだれてるのさ」
三「あれアドリブっていうより虎若の本心に近いからね。大勢の前で口説かれて恥ずかしいんだよ」
き「久々知先輩から豆腐料理フルコースが届いているぞ。今日の主役に、って。あと、は組全員になのか鍋一杯の湯豆腐に冷奴が」
喜「ジュンコ主義の伊賀崎先輩が褒めてくれてたよ」
虎「あの人、案外ロマンチックだからな」
団「潮江先輩からお握り。中身は普通のおかかに梅干しに鮭に明太子だから安心して食えって」
き「タカ丸さんに怒られたよ。何で髪型をセットさせてくれなかったの、って。でも、は組だけでやりたかったしな」
し「乱太郎、惜しかったね、配役あったのに……」
乱「時間が足りなくなったから仕方ないよ」
き「なあなあみんな、もう一回劇をやろうぜ」
土「初回限定盤に未公開シーンを付けたDVDでも売る気か? きり丸」
き「うっ、す、鋭い……」
庄「先生、売りはしませんのでせめて撮影をもう一度やらせてもらえませんか。乱太郎は本当は舞台に上がる予定だったんです」
山「そういうことなら許可を出そう」
土「山田先生」
山「それに学園長先生が感激されておられてな。今度はもっとどろどろなのが見たい、と」
伊「え?」
乱「は?」
兵「また劇やれってことですか?」
き「グッズとか作って売り出そうと思ったのに……!」
伊「じゃ、じゃあ私、今度は衣装係で。凝ったの作るから!!」
三「伊助の眼が輝いてるー」
き「じゃあ今度は俺と乱太郎で赤ずきん!」
庄「あれってヒーローとヒロインの恋愛ストーリーじゃないよ?」
き「うんにゃ。のこのこと家にやってきた赤ずきんを人間に化けた狼が連れ去って逃避行して人間のハンターから逃げながら愛を育むんだ。どろどろだろ!?」
土「……取り敢えず今日は長屋に帰って着替えて寝なさい。ちゃんと風呂に入って歯も磨いておくんだぞ?」
全「はーい!」
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