俺の方がもっと可愛がってやるのに、とか。

 俺の方がもっと甘やかしてやれるのに、とか。

 俺の方が愛しているのに、とか。

 俺の方が、俺の方が、って。

 狂ったように考え続ける。

 言葉にして伝えなきゃ意味が無いのに。

 肝心のあいつに知ってもらわなきゃ意味が無いのに。

 心の中でどろどろと、呪詛のように唱え続ける。



「マサキ」

「! な、何で、ここにっ」

「仕事が一段落ついたから。……あ、汗、ほら、ちゃんと拭いておかないと」

「じ、自分でできるっ……」



 タオルで汗を拭いてやるくらい、俺にもできるのに。

 俺だってしてやれるのに。

 愛して欲しいなら愛してやるのに。

 満たされないなら満たしてやるのに。

 お前が求めてきてくれるなら、何だってしてやるのに。

 お前が俺に先輩以上の事を求めないから、俺はお前に何もしてやれない。

 

 
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