「鬼道さん今日も素敵ですっ」 

 鬼道さんは尊敬する人。

「今日のメニューは……」

 サッカーは大好きなもの。

 源田は――

「源田ー。今日の授業でさ、順番じゃないのに数学で当てられちゃってさ。あの教師、絶対に順番を間違えてるのに気づかないの。最悪」

「そっか。運が悪かったな」

「うん。でも問題自体は解けたよ? 楽勝だったし」

「佐久間は凄いな」

「でしょ?」

「ああ。佐久間は偉い」

「ふふふっ。もっと頭を撫でて、ハグして、キスして」

 源田は――俺にとっての酸素。

 傍にいてくれなきゃ困る、なんて次元じゃない。

 傍にいて欲しい。

 もっと、ずっと。

 だって、こんな他愛ない、どうでもいい会話だって、源田と交わしているだけで、頭がくらくらするくらいに嬉しいんだ。

 これはもう病気だ。末期だ。

 源田と話をするだけで息苦しくなってしまうなんて。

 だから責任を取って、源田から酸素を供給してもらわないと。

「源田」

「何だ?」

「お前は空気だ。大気だ。だから、――いいな?」

 源田は優しい。そして聡い。

 だから、俺の言いたい事を、いつでも分かってくれる。

「勿論だよ。佐久間」

 お前の言いたい事はちゃんと分かってるよ、って優しく微笑んでくれる。

 そんな優しいお前に溺れて、また息が苦しくなる。

 息継ぎを求めて目を閉じると、源田はやっぱり、優しいキスで応えてくれた。


  

 
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