*神童が女の子です
*サッカー部は関係ないので若干パラレル気味
神童先輩はいいなあ。
可愛いし、お金持ちだし、上品だし。
その上、ピアノも上手いなんて、御嬢様を絵に描いたような人だ。
だから当然のように、男子はみんな神童先輩に憧れる。
けど、実際に告白をする人は一人もいない。
何故なら。
いつも神童先輩の傍にいる霧野先輩が、神童先輩と釣り合うくらいの美形だからだ。
霧野先輩の美貌と神童先輩との釣り合い、そして何より霧野先輩と楽しそうに喋る神童先輩を見て、男子は叶わぬ望みを捨てて、高嶺の花として遠くから見続ける。
最初は少女漫画かって思ったけど、実際に見てしまったら、本当にそんな気分にも駆られてしまうだろう。
花の化身のように美しい二人。
寄り添い合う時こそが最も魅力的で。
将来、神童先輩と結婚するのは霧野先輩なんじゃないのか、って噂が流れるほどだ。
将来なんて中学生の私達が語るにはまだ早すぎるし、遠く感じる現実だけど、でも確かにそう思えてしまう。
神童先輩と釣り合えるのは、霧野先輩だけだ。
そして。
霧野先輩と釣り合えるのは、神童先輩だけだ。
羨ましい。
私も、もっと可愛かったら。お金持ちだったら。幼馴染みだったら。
霧野先輩と、釣り合えたのだろうか。
「狩屋」
「何ですか、男なのに女みたいに綺麗な霧野先輩」
「お前ほんと生意気だよなあ。ちょっとは神童を見習えよ」
見習えって、私が神童先輩のどこを真似できるっていうんですか。
ねえ。
先輩。