屋上だけ今日も晴れだ。 外は相変わらずの砂嵐。時折、風に乗ってやってきた水晶の破片が温室のガラスに当たって砕ける音がする。 もう既に廃墟になってしまった建物の屋上。 そこに、ラズリと呼ばれる温室がある。 もう、生命体のいないこの星でラズリを守りきれているのはもはや奇跡に等しい。 ここは、エデンだと彼は言った。だから、僕はここで飽きもせずに管理人なんてやっていられるのだ。 食料には困らない。ラズリの中には果物も蜜もたくさんあった。 独りが寂しいと思ったことはない。今までもこれからもずっと孤独だと知っていたから。
(今日もいい天気だ)
ラズリの中はいつだって、青空だった。
黄昏唄 -1- 無垢な奇跡を守る人
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