東カズ(神崎視点)
※梅子様へ



昼休みになって間もなくガラリッと勢い良く開いた扉へクラス中の視線が集まった。

「東条さんっ!」

てっきり男鹿達と食べるんだと思っていたのは俺だけでなく、それよりもこのナヨナヨした犬みたいな奴が東条と知り合いって事に驚いた。
他の奴も驚いた様子だった。

「来い来い」
「入って良いんですか?」
「良いだろ」

ソイツは東条の手招きに大人しく従い、少しおっかなビックリに教室に入り、東条の目の前まで行って東条に頭を撫でられていた。
うん、撫でる気持ちは解らなくもない。



弁当を箸で突くカズに対し、購買から買ってきたパンの東条はカズの話しに相槌を打っていた。さっきからカズが話すばかりで東条が専ら聞き役だ。二人ともその状態に不満は無いらしい。俺なんて夏目の話しは十中八九耳に留まらず素通りしているのに、東条はちゃんと聞いてるみたいだ。もっと暴君かと思っていた。

「そういえば、東条さんっていっつも購買ですね」
「楽だしな」
「作ん無いんですか?」
「朝は十分に寝たい」

やっと二人は会話らしい会話になっていた。ふ、とカズの弁当に目を向けると半分減っていたが何だかキッチリしている弁当だった。冷食が一つも無い手作り弁当。大体購買か腹が空かなきゃヨーグルッチのみの俺には馴染み深く無い品だ。

「じゃあ一口いりますか」
「ん?ならその肉」
「あはは、良いですよ」
「………」
「?」

東条は恐らく弁当の蓋か何かに乗せると思っていたんだろう、俺もそう思っていた。所がどっこい、カズは蓋など取らず、箸で東条が指定したおかずを掴み、案の定持ち上げた。俗に言う、「はいあーん」である。
東条が沈黙してしまうのもわかると言うか、アッサリやられるのもコッチが困るが、やはりこの沈黙もコッチに痛い。クラス中の視線の的だ。

「いらないんですか?」
「あ、や、食べます、はい」
「?」

その瞬間だけは目を逸らした。見たくない。男同士の「はいあーん」は見たくない。見たら最後、軽いトラウマになりそうだ。

「……うまい」
「そうですか」
「…ああ」
「…?………あっ!」
「あー…」

気付いたみたいだった、気付くのが遅かった。もうちょっと早く気付いて欲しかった。
チラリと東条達を盗み見ればカズが顔を真っ赤にさせて箸を握り込んでいて、東条が気まずそうに視線を逸らしていた。
なんだこの初なカップルは。






お幸せにとしか言い様の無い二人






___
初カップルで
うん、あれです、すいませんでした。すみません。
他人視点かー、なら神崎で!ってなってしまった事とか内容とか
内容が無いよう!
梅子様へ…
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -