東カズ



ガツンと頭が揺さ振られる様な痛みに思わず蹲ってしまった。目の前にあった柱に目を向け、立ち上がりながらぶつかったおでこをさすった。ヒリヒリ痛むおでこは恐らく赤くなっているだろう。
痛いと呟いてまた歩きだした。

(片目無いと、不便だなぁ)

なんだか違和感がする。眼帯で覆われた片目をすりと撫で、ポケットに手を入れた。チャラ、とズボンに付けてある鎖が鳴く。
別にデキモノが出来た訳じゃない、ただ単に怪我だ。浅く瞼だけを切っただけの。大袈裟だとは思ったが両親に眼帯を付けられた。梓も泣きながら付けてと言った。

(怒られた…なぁー…)

髪を染めた時の数倍、両親は怒った。ただただ言葉を叩き付けられた。
何でまだあんな不良とつるんでいるんだ、と。
もはや今更な問題だ。それにいつも一緒にいるアニキのとばっちりではない。殆ど自分の問題だったのだ。

(とうじょーさんも、おこってた)

何処から漏れたか、東条さんと付き合っている事がそこら辺の馬鹿な不良にバレたのだ。
それで呼び出されて、なんやかんやあって東条さんが来てしまったと。人質のつもりだったのだろうが他の石矢魔の人まで来てしまって気が動転した不良は思わずサクッと手に持っていたナイフで切ってしまったのだ。何とも笑い話にもならない話だ。
逆に東条さんがブチ切れて半殺しの目に合っていた。流石に本当に殺しそうになった時は止めたが。
「コイツは喧嘩に関係無いだろっ!!」と叫ぶ様に言った言葉に嬉しいやら恥ずかしいやら目が痛いやら悲しいやら、色々複雑な気持ちになった物だ。今思い出しても何だか複雑な気持ちだ。

「巻き込まれ覚悟じゃなきゃ付き合ってませんよ…」

何だかムカムカした気持ちを此処にいない相手に向かって口にした。だが届く訳無く、結局相手を見付けて面と向かって言わなければならないのだと柄にも無くため息を付きたくなった。
何だってこんな在り来りな恥ずかしい事を言わなければならないのだろうか。

「あー、恥ずかしっ!」






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