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北の魔女は笑う



 万愚祭を、そして春期試験を控えたアガット・イアに、ひとつの知らせが舞い込んだ。

「ヴァシリーサ・グリゴリエヴナ・ドストエフスカヤ。『凍土の街』ドストエフスカヤの先代市長。四大魔女の一角、『北の魔女』よ」

 アガット・イア図書館の最上階。市長室。2人の魔女が対峙していた。

「謹んで御冥福申し上げる」
『受け取りますわ、『図書館の魔女』よ』
「んで――ヴァーシャ。どういった了見だ」
『先刻言った通りです、枝折』

 図書館館長・枝折に相対する黒衣の魔女・ヴァシリーサは豊かな尾を一振りして答える。その尾がどことなく透けているのを認め、枝折は不機嫌そうに足を組んだ。ヴァシリーサは無表情に続ける。

『私の魔法書はアガット・イア図書館にお贈りしましょう。ただ、真に私の魔法書を扱うに足るものたちなのかどうか、見極めてさせて頂きたいのです。アガット・イア図書館で無理なら――私の魔法書を遺す心算は有りません。綺麗さっぱり、この世から消させて貰う』
「それがどれだけの損害か理解してんのか?」
『勿論』

 毅然とした口調でヴァシリーサは笑う。その膝の上に乗せられた分厚い書の装丁をなぞって考え込むように首を傾げてみせた。

『そうね、あなたの街のお祭り――万愚祭とおっしゃいましたかしら。それが終わるまでに私のマスターズブックの名前を暴く事ができれば、お譲りいたしましょう』
「相分かった、受けて立とう。……うちの連中を舐めてくれるなよ」

 春を待たずに亡くなった北国の魔女の幽霊は、微笑んだ。

『期待しておりますわ』



――――
ミッション『北の魔女は笑う』
2月の半ばに亡くなった『北の魔女』ことヴァシリーサの持つマスターズブックのタイトルを暴くことが目的です。
現在枝折のもとにいる『ヴァシリーサ』は幽霊ですが、ヴァシリーサの魔法により誰でも見ること・話すことができます。幽霊であるために『ヴァシリーサ』にはマスターズブックを管理しきる能力が無く、魔法書の影響で街に何らかの異変が起きる可能性があるようです。また彼女はいたく万愚祭を楽しみにしているようで、『楽しそうな光景をみたら口が軽くなるかもしれない』と話しています。

枝折との取引により
・期限は万愚祭終了まで
・マスターズブックを直接調べることは禁止
・ヴァシリーサからのヒントをもとに推理する
・ヴァシリーサは嘘をついてはいけないが、質問に答えない事は出来る
・質問に答えるのは1人1回のみ
・質問できるのは司書及び春期試験受験生のみ
以上のルールが決められました。
また春期試験受験生が有用な発見をした場合、試験にプラスに加算するようです。

詳しいルールは別ページをご覧ください。皆様のご参加お待ちしております!






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