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あたしと彼とダイエット


こ、これは……由々しき問題だわ…!

あたしは洗面所の体重計に乗って、液晶パネルに表示された数値を見て盛大に溜め息を吐いた。
お腹のお肉をちょっとつまんでみる。太ったかな…。
それもこれも何が食べたいか訊く度に「ハンバーグ」と答える食べ盛りの同居人のせいだわ。
その頻度はどれだけハンバーグ好きなのよとツッコミたくなるくらいで。
飽きないように色々ソースを変えたりするけれど、カロリーは高い。
同じモノを摂取してるのに、雲雀くんは太る気配もない。
あたしより量食べてるのにっ…これも若さか?!
何度乗っても変わらない数字を睨みつけ、あたしはダイエットを敢行する意思を固めた。


***


「それで夕食それしか食べないの?」


あたしの前に置かれたサラダの理由を聞いて、雲雀くんは呆れた表情を浮かべた。
勿論雲雀くんにはちゃんとしたご飯を作ってある。


「だって、夏よ?薄着の季節よ?身体のラインがバレバレなのよ?」

「…仕事に行くのにそんな服着て行かなければいいでしょ。
 ちゃんとバランス良く食べないと、身体壊すよ」

「雲雀くん。君は女心が分かってないなぁ。それでも女は痩せたい生き物なのよ」

「……理解に苦しむよ」


そう言って彼は筑前煮を口に放り込んだ。あぁ、美味しそうだな…。
和食だったら太らないかな…いやいやいや!昨日の今日で気持ちが揺らぐとか、意思弱すぎでしょう、あ・た・し!
サラダを黙々と食べ始めたあたしをチラリと見て、雲雀くんは小さく溜め息を吐いた。


***


ダイエット5日目。
雲雀くんがお風呂に入っている間に、遥から借りた今話題のエクササイズDVDを観ながら実行する。
運動する暇なんてそれくらいしかないし、ちょっと彼の前では恥ずかしくて出来ない。
だってね、腰ぐるんぐるん回すのよ?一応あたしにも恥じらいがあるのよ。
うーん、意外に難しい。よくあんなに滑らかに腰回るなぁ。
ぎこちなく流れる映像のマネをしていると背後からぎゅっと腰を掴まれた。
驚いて振り返れば雲雀くんが何とも複雑な表情で立っていた。


「ひ、雲雀くん!?お風呂入ったんじゃ…!」

「着替え忘れて取りに戻ったんだよ。
 それにしても…そこまでして痩せたいの?」


彼は未だ流れ続けるエクササイズの映像に溜め息を吐いた。
だ、だって…。


「…君の為にも綺麗でいたいんだもん」


ちょっと口を尖らせて言うと面食らったように彼は目を丸くした。
すぐに苦笑を漏らして、恥ずかしさから俯くあたしをぎゅっと抱き締める。


「僕の為に努力してくれるのは嬉しいけど、恋する女は自然と綺麗になるんだって。
 …昴琉は僕に恋してる。でしょ?」

「んもう!またそうやってからかう…!」

「それに、あの体重計狂ってるよ。
 この間着替えてる時にあの上にうっかりトンファー落としたんだ」


悪びれた様子もなく寧ろ愉しそうに雲雀くんは言った。
う、嘘?!それじゃ太ったんじゃなくて、体重計自体が壊れてたの?!
しかもそれを知ってて黙って見てたのか!
…か、返せ!あたしの努力と女心を…!


「それでも痩せたいなら止めないけど、このダンスは止めてくれる?
 ……腰の動きが卑猥でムラムラするから」


む、ムラムラ?!
振り仰いだあたしの額にちゅっとキスをして、彼は悪戯っぽく笑った。

―――――雲雀くんにドキドキさせられる方が余程ダイエットになるかも。

なんてね。
本人に言ったら大変なことになりそうだから、そう思ったことは秘密にしておこう。



2008.8.6
好きな人の為に綺麗でいたいと思う女心は可愛いと思いますv
体重計新調して量りなおしたら太ってたりして(笑)



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