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僕と彼女と転寝


※5話と6話の間のお話。

急遽同居人になった雲雀恭弥くんにも専用の部屋をと思って、物置状態だった空き部屋を綺麗に片付けた。
雲雀くんには今掃除の過程で出たゴミを捨てに行ってもらっている。
その間にあたしは絨毯の上に座って取り込んだ洗濯物をせっせと畳む。


んー、流石に疲れたかも。


勿論整理するモノはあたしの私物だから、全て自分で片付けた。
い、一応見られたくないモノとかもあるわけよ。
元彼との写真とか、捨てようと思ってた古着とか。
この際だから色々捨てようと思って、整理したら結構な量のゴミが出た。
両手いっぱいにゴミ袋を持って引き摺る姿を見かねた雲雀くんが、溜め息を吐きながら代わりに捨てに行ってくれた。
生意気なことばかり言うけど、きっと根は優しいのよね。
ふと横を見ると無造作に彼の学ランがソファに放り投げてあった。
何となく手を伸ばしてそれを手繰り寄せ、両手で広げてみる。

……ちょっと羽織ってみちゃおうかな。

興味が湧いてそっと袖を通すと、やっぱりあたしには大きくて。
中学生っていっても、やっぱり男の子なんだなぁ。
何だろ、凄くいい匂いがする。
雲雀くんの匂いかな…。それに暖かい。
それは疲れた身体に心地好くて、あたしは思わずそのままころんと絨毯に寝転がってしまった。


***


何で僕がゴミ捨てなんか…。

まぁ、僕の部屋を作ってくれようという気持ちに免じて許すけど。
小柄な彼女には不釣合いな大きなゴミ袋を持って右往左往する姿は、イライラして見ていられなかった。
ゴミを捨てて戻ると昴琉の姿が見えない。
リビングに足を運ぶと、目に飛び込んできた光景に僕は不覚にも固まってしまった。

いないと思った彼女は洗濯物に囲まれて、何故か僕の学ランを羽織り身体を丸くして絨毯の上で眠っていた。

何で僕の学ラン着てるのさ…!

気配を消して昴琉に近付き、四つん這いになって顔を覗き込む。
こうしていると年の割りに幼く見えるんだね。
しかもちょっと嬉しそうに顔ニヤけてるし。
その顔を見て僕の頬も緩む。何だろう…この気持ち…。
サイズの合わない僕の学ランが彼女の小柄さを引き立てて、ちょっとだけ、可愛い…なんて思ったり。

その時彼女が「ひば、り、くん…」って僕の名前を呼んだから、心臓が飛び出るかと思った。

何で僕がドキドキしなきゃいけないんだ。
そう思いながらも彼女から目が離せない自分に少々驚く。
……まぁ、いいよ。ひとりで掃除してたし、疲れたんだろうから。
もう少し僕の学ラン貸しておいてあげる。
その代わり僕はもう少し貴女を観察していよう。

勿論すぐ昴琉は目を覚まして、顔を真っ赤にして慌てていたけどね。



2008.6.16


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