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随分と遠くへ飛ばされたものですね…


アルコバレーノに依頼され、復讐者の牢獄に囚われたまま僕は夢を渡り雲雀恭弥を捜索していた。
雲雀恭弥など、僕の計画には邪魔以外の何者でもないのだが。
今回の件に関しては僕にも少々責任があるし、犬や千種、クロームのことでボンゴレには借りもある。
だからアルコバレーノの頼みを引き受けたが…。


―――――厄介なことになった。


何とか彼を見つけたが、そこは僕達が生きている世界とは異なる世界。
しかも夢に入り込んで話をしようにも、彼は僕に気付くと全力で締め出そうとする。
やはりあの時のことを根に持っているようだ。
幾度か試みたが「出て行け」の一点張りで、彼が僕に応じることはなかった。

夢に入り込むということは、その夢を見ている人物の深層心理を垣間見るということ。
姿さえ現さなければ、気付かれることなく彼の夢を覗き見ることも可能だ。
一先ず様子を見ることに決め彼の夢を観察していたのだが、その中で頻繁に現れるひとりの女性に気が付いた。


『桜塚昴琉』


それが彼女の名前らしい。
どうやら彼女は社会人のようで、彼に衣食住を提供し面倒を見ているらしかった。
彼を恐れず屈託なく接する彼女に、初めは戸惑っていた彼の態度が柔らかいモノに変化していく。
そして彼の抱くこの感情は…


……面白い。どうやら彼はこの女性に『恋』をしているらしい。


あの戦うことにしか興味のない一匹狼が、恋を…ね。

益々厄介なことになりましたね…

僕は苦笑を漏らし、アルコバレーノに報告する為に自分の世界へ戻ることにした。


***


「えぇ?!10年後じゃなくて、他の世界に飛ばされただって?!」


暫くイタリアに飛んでいたリボーンが帰って来てもたらしたとんでもない情報に、オレは素っ頓狂な声を上げて驚いた。
大体『10年バズーカ』だってこの目で入れ替わるところを見なきゃ信じられない代物なのに!
一体ランボのとこのマフィアって何してんの?!
つーか、マフィアって何でもアリなのか?!


「どうやら今回の故障で10年後に繋がるはずが、異世界に繋がっちまったらしい」

「そ、そんな…!それじゃヒバリさんどうなるんだよ!ま、まさか…戻って来られないのか?」

「いや、今回はランボが迷惑を掛けたからと、ボヴィーノのボスが帰還用に『10年バズーカ』の小型版を開発してくれることになってな。
 ボンゴレも協力して既に開発に取り掛かっているぞ」

「ホント?!じゃぁヒバリさん戻って来られるんだな?!」

「あぁ、戻って来るには戻って来れるんだが…」

「な、何だよ…」


リボーンはお気に入りのエスプレッソを一口飲むと、ニヤッと笑った。


「骸の話じゃ、ヒバリのヤツ向こうで恋してるらしいぞ」

「こ、こ、こ、恋ぃぃぃーーー?!」

「しかも相手はOLらしいぞ」

「えええぇぇぇーーーーー?!!」


またもやリボーンからもたらされた情報に驚き、オレは思わず大声で叫んでしまった。

あ、あのヒバリさんが、こ、恋?!ヒバリさん恋とかすんの?!

それって向こうの世界で彼女が出来たってこと?!
ヒバリさん…いつも「群れるな」「咬み殺す」とか物騒なコトしか言わないのに、同じ口で「君が好きだ」とか「愛してる」とか言っちゃってんの?!
しかも相手年上?!
あ、いや、あのヒトを相手に出来るのは、寧ろ年上しかいないかも…。

き、キスとかしちゃってんのかな…。

「咬み殺してあげる」とか言いながら不敵に笑って大人の女の人にキスするヒバリさんを思わず想像して、オレは恥ずかしさのあまり赤面した。
な、何考えてんだよ!オレ!
頭をブンブン振って妄想を頭の中から追い払う。
それを見てリボーンがまたニヤッと笑った。


「先越されたな、ツナ」

「な゛!何だよ、それ!そんなの競ってないよっ」

「おまえもヒバリを見習って、京子モノにしてみろ。勿論ハルでもいいぞ」

「あぁッもう!煩い!煩い!うーるーさーいーっ」


赤ん坊のクセに何ませたコト言ってんだよ、コイツ…ッ
そりゃオレもちょっと変な想像してたけど!
だけどオレを茶化していたリボーンは急に真面目な顔になった。


「恐らくヒバリはこちらに戻ってくる気はねぇ。
 …だからツナ、ヒバリをこっちに連れ戻すかどうかはおまえが決めろ」

「ぇ…な、何でだよ」

「本人は認めちゃいねーが、仮にもヒバリはおまえの守護者だ。
 おまえにとってアイツは将来必ず必要になる男だぞ。
 なんてったっておまえはボンゴレ10代目なんだ。その首を狙ってくるヤツはごまんといるんだからな」

「だからオレはマフィアになんかならないって…!」

「まだそんなこと言ってんのか。ヒバリがいなくて困るのはツナ、おまえだぞ?
 早死にしてーんなら話は別だがな」

「そ、そんな…!」

「帰還用の拳銃が出来上がるまでにはまだ時間がある。
 それまでない頭をフル回転させて、よーく考えやがれ」


リボーンの突き放すような言葉に、オレはバケツいっぱいの冷水を頭から浴びせられた気持ちになる。


そんな重大なコト…オレ、決められないよ…!



a quirk of fate in 並盛2
〜風紀委員長の行方〜
2008.11.23



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