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フォレンとルネが進んだ先には、一つの部屋があった。細かな装飾が施された扉を開くと、見たこともないくらい長いテーブルと、そこに設置される焦げ茶色のつるっとした感触の椅子。すでに到着した魔族たちは、思い思いの過ごし方をしていた。

部屋に入ってきたフォレンとルネを見つけ、真っ先に駆け寄ってきたのは、まるで燃えるような髪をした可愛らしい少年である。その頭部からは人らしからぬ角が二本、ぐるっと円を描くように生えているが、重そうなそぶりも見せず首を小さく傾げる。

「フォレン!久しぶりだね。この子がそうなの?」

「こんにちは、シャルロッタ。うん、そうそう。この子がルネ。」

フォレンに背中を押され、ルネと握手をしようと手を伸ばすシャルロッタの手を取る。

「僕シャルロッタ・バーンテール。ようこそ、魔界議会へ。」

「ルネ・アルス。よろしく、シャルロッタ。」

こっちだよ、とルネの手を取ったまま引いていく。バランスを崩しかけてよろっとしたが、何とか体勢を整え直し、シャルロッタに引かれるまま席を案内された。周囲の魔族からの視線がとてつもなく痛い。きっと部外者がいると思われているのだろう、ルネは少々不安になった。

ふと、感じる視線とは別のもの。それは明らかに憎悪を込めた殺気と言う感覚。

「ん。」

ルネがピクリと体を震わせると、手を引いていたシャルロッタと、後ろからついてきていたフォレンが同時に反応した。

「どうしたの?」

「ん、ううん……気のせいかも。」

一瞬感じた殺気も今は感じられない。きょろきょろと辺りを見回すも、好奇な目を向ける魔族はおれど、殺気を与えてきそうな顔をした者は誰一人見当たらなかった。

「なんだろうね。ま、いいやとりあえず座ろう!」

「ま、まってここ殆どお誕生日席……」

案内されたのは、テーブルの一番奥、その上真ん中に近い席である。明らかに見学者が座る位置ではない。

「え、だって今日のゲストはルネじゃない。もしかして、フォレン言ってないの?」

シャルロッタが驚いたようにフォレンを見上げる。

「うん、あまり変なこと言うとついてこなくなると思って。」

対してフォレンは照れくさそうに頬をかいた。

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