三年間の片想いが

実った瞬間、


キミ一人を護り抜こうと思った。





「思ったより私、達哉んこと好きだったみたい。」



苦く笑う空。
俺は瞬きさえ忘れかけて、空の顔を見ていた。




「ど…したんや、なんかあった?」



数秒間があったが、ようやく発した言葉は掠れた。



「いや、ごめん。」



「謝んなって…、どした?」



空は笑おうと頑張るみたいに見えた。
眉を下げ、泣きそうな瞳にも関わらず口端を少しだけ吊り上げた。


実際は俺も
俺も、頑張って笑いながらそう言った。



ずっと黙る空は泣きそうな顔をしていたから
反射的に、何か喋らな、って考えた。



三年前、俺は空に「好きだ」って伝えた。

その時はあっさり笑い飛ばされて、不甲斐ない感じで終わった。


そんなんで納得できるような性格じゃない俺は、それから、耐えられないくらい気持ちが膨らんだ時に一度だけまた「やっぱ好き」って伝えた。


その時返事は、聞かんかってん。
欲しいとも、いらんとも言わなかったら
返事は来なかった。




俺はケジメてやつをつけたくて、諦める気で空に三度目の告白をした。


それが丁度、北京に言ってた頃。海外用に買い替えたばかりのケータイで電話した。


返事はいらんからって言ったから、空の言葉を俺は拒んだ。



あれから時間はだいぶ立ったけど
結局俺は空を忘れきれて無かった。

ただバレーが忙しいせいにして、まだ好きな人が出来へんかったのは多分…、




ただ、キミ一人傷つけたくない



そんな想いのまま、止まっただけで、消え去ってはくれなかった。






そして今
目の前にはそんな空が俯いてる。




「俺の事好き?」



空はコクコクと頷いた。




「俺も、ずっと好きだった。」




俺が成るだけ笑顔でそう言ったら、
空も笑った。







忙しい日々は、
もの凄いスピードで進んでた。
俺は逃げてた、
弱かった、
だけど「好き」て気持ちは
逃げ出さなくて何より強かった。

日本を代表するバレー選手が
1つの恋愛にこんなんや。
笑えるやろ、

スポーツと恋愛はちゃうねん。
気持ちの持ち用とか…。

変わり行く日々のなかで
変わり行く自分のなかで
変わらない気持ちが
二人をずっと繋いでたのかも。



キミ一人



愛してる、
この愛しい人を


護りたい。








空視点あり。
「アナタ一人」