元々運命は信じない主義で、
全部偶然だと考えている訳で。



勝利の女神とか、
占いだとか、
人を繋ぐ運命の赤いナントカだとか

信じてなかった。





アナタと出会う前まで。







赤い糸









「あ…。」




「ぅおっ」






バチっと弾く音が聞こえる程に目が合った。
その相手は私の冷静な言葉とは正反対にすっとんきょうな声を上げて腹が立つ。




腹が立つけど、私が好きな人だったりする。
しかも、それは2年前に別れたってゆう人。




私はまだ好きだったんだけど、フラれた。
たまたま出会った達哉はたまたま私を好きになって偶然嫌いになった。
ただそう思えば、傷付かなかったし、へこむ事もなかった。
ただ、納得は、カケラ程も出来なかったけど。




思い悩む事は無かったけれど、




「な、なんでおるん!?」



くそ、人が考え事してるってのに話しかけやがって。

舌打ちしたのが聞こえたからか、達哉は顔をしかめてきた。





「なんでって、応援?」




思い悩む事は無かったけど、納得しなかったせいか、やっぱりまだ好きだったりする。






だけど、今日はただ単に、私もバレーが好きだから、見に来ていただけであって、達哉を見るつもりは無かった。




出来れば達哉を見る事もなく、見つかる事もなく帰るつもりだった。







それがしかしなんと困った事に、
奴に見つかった。




達哉の試合の前に帰っていた所をたまたま達哉は歩いていて、思いっきりはちあわせたのだった。






「まじか、そや、バレー好きなんやしな。」




「そおそ、んじゃね、頑張ってね」





「いや待てや、」




苦笑いを浮かべながら止めたから、さっさと立ち去ろうと強がる私は一歩も踏み出す事はなかった。







「なにさ。」





「今から帰る空と、これから試合の俺が出会ったのスゴくない?」





動きをしながらそう語る達哉。




「こんな一瞬の瞬間に会えたんやから運命やって!」






「いみふめー」






「だから!!俺、言い忘れとった事あるから、それ言わせて?」





「待って、私も言いたい事がある。」





「俺からや。」





「まあいっけど…、何?」







達哉は咳払いを一度した。
私は心の準備をした。








「落ち着いたら、もっかい俺に告らせてほしい。」








なんだそれ。



「それ、もし、私ともう二度と会わなかったらどうするつもりだったの?」







「言わへんかった。このまま終わりにするつもりやった。」







何故か得意気に笑って見せる達哉に私も笑ってしまった。






「空が言いたかったのは?」





「ん?あぁそれ、もういい。」






「なんやねん、気になる」





「気にしとけ」



「いやや、試合集中できひん」



「負けちゃえ」



「最低やなあ〜、この冷却女!たまにはメールよこせな」




「するする。告ってくれるまで毎日してやる。」



「お。なんや空、可愛い事言うなあ。」



「うっさいわ、んじゃあ試合頑張って」



「おう、気ぃつけて帰れー」












初めて出会った偶然と
今日の偶然。
偶然も、ここまでしつこいと運命なのかもしれない。





私と達哉には、二度と離れない赤い糸が結ばれている気がする。












エンド






アドガキ

口悪くてごめんなさい。
ここまで読んでくださりありがとうございました。