頬に転がす甘さ





キャンディー








この寒さでも汗をかいてしまう程の練習をこなしてゆく達哉。

真剣な顔で監督の話を聞いて、打つボールの一本一本に眉間にシワを寄せたり、少し満足げな顔をしたりして、子供のようだ。



だけど、子供のようだけど、すごくすごくかっこいい。



自慢の彼氏だ。
大好きな彼氏だ。





そんな達哉を見てれば、ただ練習を見てるだけの暇な筈な時間も、あっとゆうまだ。



練習もあとちょっと。




腕時計の針を見て確認して一人で頷く。
つくづく思うのは、「浮かれすぎ」。














「空ー、終わったで。」



退屈しのぎとお腹を満たすために口に転がしていた、オレンジ味の飴玉を頬っぺたに止めて、控えめに手を降る達哉に笑顔を見せた。





「お疲れさまっ!」





「おー。どうする?どっかいこか?」





「どうしよっかー」






体育館を後にしながら、そんな話を交わす。どちらからともいわず指を絡ませながら。






「空‥?飴?」




「あはは、ばれた?ごめん」





「俺のはー?」





笑いながら謝れば、達哉のいつもの冗談が聞こえた。




「あ、いるー?オレンジしかないけどいいー?」






「空の口ん中のやつなら貰ったるわ」





また子供みたいに笑って冗談を溢しながら断った。



私は笑ってみたけど、冗談と分かっていながらも照れてしまって顔が熱い。






すると、達哉は私の手を離して目の前に立った。


そして突然私の顎に達哉は手を添えて、視線が合うように持ち上げた。




ただ驚くばかりの私の顔に、ぐっと近付く達哉の顔。






「ほんまにくれるん?」







「え…あ、え?」






「んな可愛い顔されたんや、ほんまに欲しくなってもた。」







イタズラっぽい笑顔を浮かべる達哉だけど、それがまたかっこよくて、心臓が爆発しそうだ。







「…ほら、そのカオ、」








そう呟いて、達哉は私に口付けた。



あっとゆうまに達哉の熱い舌が私の口の中に侵入した。
私自身、拒むこともなく受け入れていた。


口内の飴玉を何度か転がした後、飴は私の口の中のままで、一旦唇が離れた。






「はずかしっ‥」



私がうつ向いて呟くと、達哉はニッコリと微笑んで私の頭を撫でた。






「うまかったで!」




ふざけた様に言ってくる達哉の胸辺りに手を伸ばして叩いて、細やかな反抗を見せた。




そうすれば、その手を掴み、




「行くで」





と言って手を繋いでまた歩き出した。






口付けた前と離れた直後では飴の大きさは比べ物にならない。










飴玉の小ささが確認される度に、恥ずかしくて握る手に力を加えた。










二人で分けたオレンジ味。
子供みたいな冗談と
大人な笑顔。











エンド







アトガキ
お久しぶりで申し訳ないです。しかも完全に前より書けなくなってる。駄文にここまでお付き合い下さいまして、ありがとうございました。ベタな話になってしまってすいませんでした。少しは季節かじりたかったんですが諦めました。← また秋もの書こうと思っています。またお暇な時があれば駄文にお付き合い頂けると幸いでございます。