言葉でつたえないと

解らないことがある。

抱きしめても

解らないことがある。









私は今、達哉の腕の中に居る。

身体の大きさも腕の長さも手の平や指の長さも、全てが私よりも大きい達哉には、包容力があって、暖かい。
泣きそうなくらい。






「達哉?」





「……。」





力が強まって、私も腕を回す。








「愛しとるで、空」







予想もしない言葉に、一気に体に熱が籠った。
心臓がどきどきと脈打っている。
だけど、右側にも、達哉のどきどきを感じる。








すると、突然達哉は離れた。



離れて直ぐに私に背を向ける。

左手で顔の半面を覆っている達哉は何だか恥ずかしそうに見えた。






一つ咳払いをして、こっちを向きなおした達哉の顔はやっぱり恥ずかしそうに目を泳がせて、真っ赤になっていた。







「どうしたの?」





「最近な、大好きってだけじゃ足りひんねん。」








照れを隠したのか開き直ったのか、子供みないな笑顔をみせられた。







「けどやっぱハズいなあ」と呟く達哉。




緩む口元を抑えきれずに、笑った私に、達哉もちょっとだけ笑った。






「でも、どうしても伝えたいねん。伝えなあかん気がするねん、」






後頭部の髪をわしわしとしながら言った。





「けどな、抱きしめてみても、慣れん事言ってみても、まだ解らん。


空の気持ちとか、つたわっとんかとか…」







そう言って達哉はまた私に背を向けた。



「なんてなっ!!」






明るげな調子の良い言葉を発した達哉。





私には、ある言葉を求められてる気がした。
だから、その要望に応えようと思うの。






「達哉、」








「ん?」








「大好き。」








足らない言葉でも、心を見て言えば、満たされるものでしょう?







「お…、おぅ、」









ほらまた照れ始める彼。













伝えなくちゃいけないもの
(それは心で云うことば)

















エンド





アトガキ


みじかッ!すいません。純愛でしょうか?目指してみたものの挫折しました。←
ここまで読んで下さりありがとうございました。