おとぎ







私は代わり映えの無い毎日に嫌になって、だけど目の前にはたくさんの「やらなきゃいけない事」があって。
もー嫌だ。
自分で決めたことは通したい主義。
それでもたまに分からなくなる。

『ただのイイコのフリ』

それってこんなに無理までして貫かないといけないの?


それでも全て投げ出す気になんてなれなくて。
そんなこと、こわくて出来る筈なんてなくて。



そんな日々に光るものを見つけてしまったのだ。




ずっと友達のままで、それ以上にもそれ以下にもなるなんて思わなかった彼を捕まえた。



邦広はいつも目の前に必死になって生きていて。
私には到底届く人では無かったのに、うっかりその人の腕の中に入ってしまった。






そしたらびっくり。
物凄い包容力。
私は邦広のことしか考えなくなっちゃった。
それと同時に私のことしか考えなくなった。









「…もういい。」




「待てって、空!」




「邦広は何にも分かってない!」






くだらない喧嘩?そんなもので別れなきゃいけないの?
くだらなくなんかない。全然くだらないものなんかじゃない。



だけど分かってるんだ。
喧嘩したって、別れたって、また元に戻れることくらい。

邦広だってそうなんだ。
一旦身を引くけど、お互いまた冷静になる度に思い出すんだ。





名前を呼ばれた時の特別ななにかとか。
そうしたらほら、これって愛なんじゃない?ってそう思うんだ。



仲直りするための理由をたくさん探してきた。
仲直りするたびに何個も何個も何個も、たくさんの理由を探してきて、その全てを私は覚えてる。




つき合ってから2年目。
記念日とゆう素敵な日に、何回目かの仲直りをした。






「いっぱいケンカしてきたね。」


「そうだね。」


「別れる理由以上に仲直りの理由探したね。オレ、必死だったんだから。」



「あはは、私も必死だったよ?」






3秒くらいの沈黙の後、胸をエグられるような言葉を聞いた。






「でもさ、結局、理由なんて1つでいいんだよ。」








ねぇ、私はいつも何度も理由を探したよ。理由があればある程、邦広は私から離れなくなるんでしょう?

でもそれって、それって私の勘違い?








「別れるなんて、空が口走った後に感じるあの気持ちだけで、それだけでもう、分かるんだ。」








あぁ、そうか。








「それだけがもう、俺が空の為に居て、空が俺の為に居る理由なんだ。」







信じていいんだね。




信じてなかった訳じゃない。
だけど心の底から、邦広を信じていなかったのかも。

今なら胸を張って、「信じているよ」と言える。








「邦広、今まで本当にごめんなさい。」






「終わったことなんて、どうだっていいんだよ。大切なのは今なんだから。」





優しく微笑む彼が、ただただ愛おしくて泣きたくなった。






「ケンカしたことも、仲直りしたことも全部合わせて、今のオレは、幸せだよ。だから空も幸せでいて。」






「空に元気がないと、オレも悲しいから。」と、続けて囁いた邦広は、逞しくて、やっぱり私を照らす光だった。







思いっきり抱き付いた。
私のことを一番に理解して、私が一番に愛している邦広に。







「これからもたくさん思い出つくろ。この先の空が笑っていられるように。」






抱き締め返してくれる優しい腕を感じながら何度も頷いた。







「邦広が幸せって言ってくれたら、私、私もう世界一、幸せ。」







気持ちは同じ。
自分で言って改めて思った。




意味の無い喧嘩じゃなかった。
そんな風に邦広がしてくれた。

だけどこの先、喧嘩することでその時に私の元気が無くなって、邦広の幸せがなくなるのなら、どんなに短い時間でも、そんなの、嫌だよ。





これからは、理由探しなんてゆうくだらないことなんかじゃなくって、もっと暖かいもので続けていこう。







邦広がおじいさんになって、私もおばあさんになった時に、「幸せだね」って笑って話せるように。




だから今は

思い出に浸る暇もないってくらいの思い出つくりたい。













(This is the very place in a fairy tale begins from
“Once upon a time”

Now let's start our story with the line starts from
“Once upon a time”)










エンド




※Thanks for
おとぎ/RADWIMPS





アトガキ
ストーリー性ゼロで申し訳ありませんでした。これでもかっと言うくらい自己満になってしまいました。昔から大好きな曲の1つでして、いつか書けたらいいなあと思っていました。ここまで読んでくださりありがとうございました。