「うん、寒いからしょうがない!」



「ごめん邦広、せっかくのオフなのに…」



熱をだした空は、火照ってピンクの頬っぺたを半分だして、布団にこもっている。



普段は確りものの空が、虚ろで潤んだ瞳っていうのは、なんていうか、可愛いらしいと思う。



俺こそはオフで、二人で遊びに行く予定だったけど、今になっちゃそんなことどうだっていいんだ。




「仕方ないよ、今日はゆっくり休んどこ。どうする?俺帰った方がいいのかな。」



「うん、アタシお母さん居るし、邦広にうつしちゃったら大変だからいいよ。」



「わかったー、じゃ、おばちゃんに一言いっとくから。お大事に!」




大丈夫かなー、ほんと心配。
でも空が言うんだもんな。
俺はこんなとき何もできないしな。




「邦広っ」



空の掠れた声が俺を呼んで振り返ると
何か言いたげに切ない目をしていた。


「ばいばい」


空はまたすぐ笑ってそんな事言った。



「バイバイ、寒いから暖かくしてね」



帰りたくない。側にいたい。

笑ってらんない。


俺って今、全部真逆な事してる。

そうやって思っていながら玄関を出た。




ちらつく雪が悔しさを一層強くさせる。


あの空のカオ、


何を言おうとしてた?




「やっぱ会いたい、!」




口に出ちゃうくらいだ。





とりあえず、見とくだけとか絶対嫌だから、…嫌だから、えっと…… 

コンビニ!
熱冷まし!
ポカ○!←









ピンポーン


ガチャ



どだどだどだどだ


ばんっ




「空!!」



「…邦広?」



「ごめんね、来ちゃったよ。」



怒られるかなぁ。




「……て」



空が何か言ったけど聞き取れなかったから「ん?」って聞き直した。




「…こっち、きて……」



恥ずかしそうに此方をみる空が可愛くてさっきコンビニで買った物を落とした。




空に近寄ると空は俺の手を握った。




「つめた。」



「走ったから…」


「ありがとう。」




か細く微笑む空。



「会いたくて、」



俺は苦笑いして見せながらそう言ったら、


「ごめん、アタシも会いたかった」



なんて言うから、看病そっちのけ。


空に口付けた。






「…うつっちゃうよ」



「空辛そうだから、俺にうつればいいんだ、」



「だめだよ。」



「欲しいよ、空の熱も風邪も全部、奪っちゃいたい。」





自分でも何言ってるのか分からなかった。

でも空が「ばかだなぁ」なんて言ってチョットだけ笑ったからいーや。





「外雪降ってた。」



「寒い訳だー」



「そんなに寒くないよ」



「アタシと邦広同じにしたら駄目だあ」



「あはは、」




コンビニで買ってきた物も忘れて、空に付き添ってた。




「ちょっと寝るね。寝たら帰っていいからね。」



空はうとうとしながらそういったから。繋いでた手に少し力を込めながら笑ってみせた。




暫くして空が寝息をたてはじめた。




「よしよし。早くよくなってね。」



そんな一人言を呟いて空の髪を撫でた。








空の体温が掌から逃げないように拳を作った。




帰り際にまた堪らなく愛しくなったから、空に口付けた事は、俺しかしらない。








君の全てが愛しいよ。
僕にとって君が全てなように
君にとって僕も
君の全てになりたいな。







エンド


半寝で仕上げた産物。←



すいません、ありがとうございました。