俯いた空は、黙って立ちすくむから、俺は何していいのか解んなくて、ただただ黙ってそんな空を見るだけだった。
いつもの駅。
いつもここで空に会って、
ここで空と「またね」。
暗い空、
駅は電灯とか蛍光灯の明かりで照らされてる。
気付けば空は真っ直ぐに俺を見ていた。
驚くほど切ない顔をして、今にも泣き出しそうな瞳を向けて。
「あたしには、難しいのかも。」
震えた声だった。
その姿を見て、思わず抱き締めたくなった。
「私は、邦広のこと支えらんない…」
「支えてくれなくていい、」
「それじゃだめ、私がだめ、」
「側に居てくれたらいい。」
「ねぇお願い…、別れよう」
必死で笑顔を造ってるのが解る。
俺が言葉を出せば、出す程に空のその壊れそうな笑顔が崩れてく。
上っ面の笑顔が落ちてくように、涙もとうとう溢れて、唇を噛み締めている。
「…何でだよっ」
「キライだよ。」
胸の辺りに突き刺さる言葉は、説得力なんてなくて、だけど確かに突き刺さる。
「じゃあ、何で泣いてんだよ…っ」
ボヤける視界。
いつのまにか空の肩を持っていた。
涙が止まらない。
自分の涙でさえ拭えないんだから空の涙も拭えない。
電車が来たのに、たった今気付いた。
空の肩を掴んでた手を、離したら、空は電車に乗った。
俺に一言
「ばいばい」
そう言って。
電車の中で崩れてく空。
まるでスロー。
可笑しいくらいゆっくりと電車は出た。
****************
チュンチュンっ
鳥の鳴く声が聞こえて、白い光が目を刺激する。
「…夢?」
過去の思い出がそのまま記憶になって夢になった。
いつも以上に瞼が重い。
「…なっさけねー」
体を起こして呟く。
少し笑ったのは、どんな顔をすればいいのかを知らなかったから。
今、空に言うとしたら、
情けないとこ見せてゴメン。
もう涙は出ないけど、光が眩しすぎてまだ見えない。
先なんて見えない。
この朝の光が、「眩しい」のか「明るい」のかは全く違ってくる。
キミが居た頃はただ明るい光しかしらなかったな。
HIKARI
(信じたくない)
エンド
* アトガキと言う名の補足 *
清水が今住んでる所には電車の音が聞こえていて、そのせいで別れた前彼の夢を観てしまったんです。だから、明日から福澤の家に居候するんです。なかなか気持ちの整理がつかなくて、何がいけなかったのかをうだうだ考えてる清水クン。