〜1P〜


冬は好き。

君に近付く理由になるから。



「寒くなってきたね。」

練習後の邦広の額にはまだ汗が滲んでいるのにも関わらず、真逆の発言が、上から聞こえてきた。


「ほんと寒い。邦広、汗かいてるよ?」

「うん。汗が冷たい。」

「早く拭かなきゃ、風邪ひいちゃうよ?」


私が焦ってハンカチを差し出すと、それを拒んで、服の袖を伸ばして汗を拭った邦広。
子供みたいに無邪気な笑顔が降ってくる。うつって私も笑う。

「風邪ひいたら、看病よろしくね。」

「するけど…。風邪ひかないでね?」

「やば。めっちゃ風邪ひきたくなってきた。」

「なんでよう。そっちだって、私が風邪ひいた時は看病してね。」

「風邪なんてひかさないから大丈夫ー。」

「ええ?どうやって?」

「うーん、こうやって?」


後ろから覆う様に抱きしめられる。歩いている途中だというのに。息が止まるかと思った。


「歩きにくいです。」

「でも暖かいでしょ?」

「まぁそれは…ハイ…。」

「寒いときはこうしてあげる。」


また、へらりと力の抜けたような笑顔をしたんだろうな。


「恥ずかしいんだけど。」

「そう?」


本当は暖かいし離れたくない。顔がどうしても緩む。離れた邦広が意地悪に笑って頬を突っつく。


「じゃあ手でも繋ごうか。」

「「じゃあ」って何よ。」

「恥ずかしいって言うから、手だけで我慢したげるよって。」

「それじゃあ…よろしく。」


緩む口元をどうしよう。
もういっそ、あなたの口で塞いで下さい。



(もう寒いとか関係ない。)







〜2P〜


この大きな手で

撫でられるのが好き。


達哉の手は、努力の人の手だ。


「でっか」

「ちっさー」

掌の大きさ比べをした。
合わせてみたら、自分が子供になった気分だ。


「いや、達哉が人より大きんだよ。」

「いやいや、お前ちっさすぎるやろ。」


言いながら達哉は指を第二関節から曲げて、私の指先をにぎにぎしてくる。
そして、少し手をずらし、私の指の間に彼の指をいれて握られた。


「ほんで冷やこいなぁ。」

「冷え性なのよ。」

「暖めたろか?」

どきりと胸が鳴る。きゅんと詰まる感じもした。


「アホ、嬉しそうな顔しすぎ。」


照れたように笑う達哉に、解いた手で頭をくしゃくしゃと撫でられる。
顔が熱くなって、赤くなるのが自分でも解る。

「お、暖まった?」

頬を包んだ達哉の手が少し冷たく感じた。


「もう…」

「はいはい。怒らんでな?」


そう言って私をなだめると、額に触れるだけのキスをくれた。

私はいつまでも、からかうように笑う彼に怒れない。
それでも、もういいか。







〜3P〜

清水「あ。あれ、中学生かな?」


福澤「ん?あーもう、ああゆうの許されへんねん。」


清水「まあまあ、そうゆうお年頃なんじゃない?いろいろやりたいんだよ。」


福澤「そうかもしれんけどなぁ」


清水「なんていうんだっけ?ああゆうの。」


福澤「は?」


清水「わなげの…いのり…?」


福澤「……若気の至り?」


清水「あっ!それそれ。わたげのいきり!」


福澤「ちゃうし!綿毛が粋ってどないすんねん。」


清水「へ?」


福澤「わ、か、げ、の、い、た、り。」


清水「わかげのいたり。」


福澤「そう。」


清水「わかげのいたりってやつだよ。」


福澤「そうは言うても、あれはあかん。」


清水「まあ確かに、公共の場であれはナイね。」


福澤「ほんまやで。なんやあれ。なんの当て付けやねん。」


清水「彼女ほしいね。」


福澤「言うなっ!中学生に負けた気になるやろっ!」


清水「あっちは…わかめの、い…いたり?なんだしいいじゃんオレらは。」


福澤「惜しい。若気の至りな。わざとかお前。ええ加減覚えて下さい。」






(相変わらずオチなしで申し訳ありませんでした。こういったやりとりをしてるような勝手な妄想でございます!全3ページどうだったでしょうか?拍手ありがとうございました!)