(あき様リク)






たまにはこんな日もあって良いと思うんだ。





いたずら






「裕太ぁ、コタツで寝たら風邪ひくよー?」



「んんー、寝ないよー。」



「眠そうな顔してるって」



「よく言われるー」




キッチンから顔を出す空に忠告を受けるも横にした体はそのまま。
眠そうな顔はきっと元から。


本当に、眠くないから大丈夫。

年末になり、練習も休み。
空とはいつも一緒に居れる訳じゃないからどうしようもなく一分一秒が充実している。


似たようなマグカップを両手にいそいそと帰ってきた空は、俺と同じ様にこたつに足を入れた。



「ほらほら、私入れない!起きてっ」



こたつ内で空が俺の足を蹴ってきた。
なんでわざわざ狭い隣に入ってくるんだよ、という呆れが少しと可愛いな、という惚気がたくさん。
「はいはい」と苦笑いをこぼしながら体を起こすと、コーヒーの入ったマグカップが目についた。



「ありがとう、いただきます」


「はい、どうぞ」落ち着いた空気が流れる。
俺の人生で一番大切な時間。



ふいに、「さむいさむい」と呟きながら前屈みにこたつの板に突っ伏せる空の耳が気になった。



人差し指と親指で挟んで引っ張ってみる。



「いたいんですけども。」


「やっわらけー」



耳たぶをむにむにと触ってみれば、予想以上の柔らかさに感動。



「ちょ、ちょっと、恥ずかしいから」



変わらず触っていると、空は焦って俺の手を持って止めてきた。
恥ずかしがる意味が分からず、頭に浮かぶ疑問符を隠しきれずにいると、空も俺のその様子に気付いたようだ。



「耳たぶの柔らかさって…胸の柔らかさと一緒って言わない?」



「…さあ、え、何ソレ初めて知った。誰情報?」



なんだか可笑しくて、控えめに笑っていると、赤い顔をした空が「ともだち」と言いながら少しだけ笑う。



「二の腕じゃなくて?」



「あ、二の腕もそうらしいよね。」



じゃあ二の腕と耳たぶと胸って同じ柔らかさってこと?
うん、ますます良く分からない。
てゆうか、今更恥ずかしがるんだ?

気になることが多い俺は空の二の腕に手を伸ばしてみた。
が、避けられた。



「触らせなさい。」


「嫌です裕太さん。」


「なぜですか、」



笑顔のままそんなやり取りをする。

諦めつつもいつか忘れた頃に触ってやろうと考えてコーヒーを口に含む。




「そんな回りくどいことしなくたって直接確かめてくれたらいいじゃない。」



「ッげほ、ごほっ…!」



なんて事を言うんだ。
空の衝撃的な発言により驚いた俺は、入ってはならない場所に熱いコーヒーが入ってしまい盛大に咽せる。



「大丈夫?」


「げほ、げほっ…いや、空が大丈夫?」


「冗談じゃない、言ってみただけよう。」



空は俺がどれだけ空のこと好きかを計りかねているらしい。悔しくも。


分かってもらわないと、ねぇ。



「空、そんな冗談言わないの。」

「ははっ、裕太優しいから何しても大丈夫な気がしちゃうのよ。ごめんね?」



若干未だに痛い喉。困ったように笑いかけてくる空。
許してあげない。今日だけ。



「おりゃ」



俺はふざけてそう言いながら、空を押し倒す。
がたん、とこたつが動いた。



「わあっ、裕太?」



空の顔の横に肘を置くと、顔の距離がぐんと縮まる。



「あんまりさ、いたずらしたら駄目なんだよ。俺だって男なんだからさ?」



「へ…?」



「いや、てゆーか、空だから駄目なんだけど?」




赤い顔になる空が可愛い。

たまらず口付けると、空が驚いた表情を浮かべる。



「いつでも冷静でいれる訳じゃ、ないんだ。こう見えて、奥の方では燃えてんの」



はははって笑いながら言うとぼけっとしている空がぼんやりと呟いた。




「かっこい……」



「…?」



どこがだろうか、と思いつつ、思いもよらぬ褒め言葉に照れて笑ってしまった。



そしてまた、ゆったりとしたタイミングでキスを落とす。

離した時に、鼻と鼻がつくかつかないかの距離で見つめてみると、なぜだかまた笑ってしまう。
空も笑うからかな。




「いったい、痛い痛い!」



耳を噛んだら、背中をバシバシと叩かれた。



「ちょっと!噛むの!?」



笑いながらも驚いて、信じられないと言うような顔をして言ってきた。



「うん?」



わざと聞こえないふりをして今度は頬へと噛みついてみた。


「うははっ、いーたいって!おりゃ!仕返しっ」



空は顔を背けながら言うと俺の着ているトレーナーの裾から手を忍ばせて、直に背中を触られる。

その空の手の予想外な冷たさに驚く。



「つっめて!」


「へへっ、さっきまで洗い物してたもん。」


「いやまじで冷てーよ!あああ、こら、やめなさい。」


仕返しと言わんばかりに反撃にかかってくる空。
だから、俺もって思ったところで思い出した。
二の腕の存在。


それ、ぶにっ



「わはは、くすぐったい!」


「うん、柔らかい柔らかい。」


「ちょぉっとっ!今日裕太変態!」



なんとでも言えばいい。
今日くらいかまわないでしょ。
空もどこか楽しそうだし。

なんなら俺は空がこうして笑ってくれるなら、何と言われようとかまいはしないよ。


「まって、冷てー、心臓止まる」


今度は首に冷たい手をつけられる。


「あっはは」


ひゃひゃっと無邪気に笑う空は子供みたいで可愛いくて、


「空、しー、」


自分の口に人差し指を当てながら、静かに、と伝ええると焦って口を瞑る。


その口を閉じた瞬間に、すぐキスをしてやる。若干強引に。

強引になんてしたことないけど、じゃれあいのひとつだと思って。



「んっ…〜っ」


唇を押し開けて、噛みつくように口付ける。
空も一生懸命応えるように首に腕を絡めてくれる。





たまにはこんなのも
いいんじゃないかな。







「あれ?もう手、冷たくないかな?」



「うん、全然。ずっとそうやって俺の服ん中入れてるからじゃない?」



「あーナルホド。…って、ちょっと、どこ触ってるんですか。」



「確かめてるだけです。」












エンド




アトガキ
いちゃいちゃらぶらぶさせたい一心で書いた結果、土下座物になってしまいました。すいません。あき様、素敵なリクエストをありがとうございました!書くのが楽しかったです(笑)イメージと違いましたら申し訳ありません。最後まで読んで頂きありがとうございました!