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我輩は、猫なのだにゃ。
名前はミィ。

わたしのご主人様は、金髪のギタリスト。たまに遊びに来る仲の良さそうな他の3人の誰よりも丸みがありそうな性格の持ち主なのに、リーダーにゃんだにゃ!

うにゃにゃにゃ。

わたしの朝はまず、ご主人様の寝顔を眺めることから始まるんだにゃ!

しばらく眺めてても全然気付かないんだにゃ!んで、結局イタズラしてぺろり、とすると起きるんだにゃ!

でもこれが、最近よく遊びに来るエミちゃんが相手だと、結構すぐに、んー…とか言って目を覚ますんだにゃ!

…ちょっと悔しいような気もするけど、それはわたしの方がより、ご主人様にとって空気みたいに馴染んでる証拠だと思って、あえて気にしないことにしてるんだにゃ!

にゃー!にゃー!にゃー!!


時々ライバル視したりもするけど、エミちゃんのことは結構好きなんだにゃ!だって、エミちゃんは初対面のとき、最高級の猫缶持って来てくれたんだにゃ!これが大好物って知ってたのかは謎なんだにゃ!最高級猫缶モンクチゴールドはボーカルの赤いひとが遊びにくる時持って来てくれる特別なごちそうだったんだけど、エミちゃんも買って来てくれるから、ごちそうの機会が増えて、わたし的には大満足なんだにゃー!


…エミちゃん、今日も来ないかにゃー…。でも今日はかっこいいお客さんが来てるから来にゃいかも…。

かっこいいお客さんは素敵なロングヘアの持ち主で、笑顔と楽しいトークでわたしのこともエミちゃんのことも和ましてくれるいいやつなんだにゃー。遊ぶのも上手で、全然退屈しないんだにゃー。


ご主人様―。
ねーねー、今日エミちゃん来にゃいの?
わたしエミちゃんと遊びたいよー。


「なんだよ、ミィ。急にゴロゴロ喉ならしてー……」


…今の「……」、ご主人様は『可愛いヤツだな』って思ったに違いないんだにゃ!ご主人様はなんだかんだ言って、わたしのことが大好きなんだにゃー。…照れるにゃー。


「おい夏輝。この間ケーブルでやってた番組録画したか?」

「あの昔の映画?」

「そうそう」


それなら録ってあるにゃ!
わたしがいる時にご主人様が予約してたから知ってるにゃ!
…でも今はこのかっこいいお兄さんに貸してるからこの家にはないんだにゃ!

…ていうか、このグレーパーカめ!普段通りフリルシャツで来ればわたしのおもちゃが一個増えたのに!紐すら垂れてないパーカに興味はないのにゃ!…こいつはお休みだからって、ヒゲ剃ってないけど、ここにレディがいるんだから失礼だにゃ!わ!うにゃー!!!やめるにゃ!そのヒゲじょりじょりした顎でわたしの頭を擦るのはやめるにゃ!ひー!!やめるにゃー!!助けて!ご主人様―!


「秋羅、ミィが嫌がってる。引っ掻かれるぞ」

「引っ掻かれるのは女だけにしとけって」

「冬馬じゃあるまいし、そんなことになるわけないだろう」

「あー、ミィはあったかいなあ…」


ちょっと!ご主人様!何携帯つついてるんですか!妻の一大事ですにゃ!変な男に犯されそうなんだにゃ!!せっかく朝から整えた毛並みがこのじょりじょりブラシのせいでぼさぼさになっちゃうんだにゃ!!

あー!顔緩んでるにゃ!これは絶対エミちゃんからのメールに間違いないにゃ!!

「…なっちゃーん、んで?エミちゃんなんだって?」

「な、なっちゃんって呼ぶなよ」

「エミが来るのか?」

「ぐっ…。春まで……」


なんとか脱出成功!
ご主人様!メール見せて!メール見せてー!モンクチゴールド来る?もとい!エミちゃん来る?


「…みなさんのお邪魔にならないんだったらって言ってるけど…」

「うわー、その顔!邪魔なのは俺たちだって言いたげなその顔!これだから彼女の出来た男は嫌だねー」

「べ、別にそんなこと言ってないだろ?よ、呼べばいいんだろ?呼べば!…だからって変なチャチャ入れたりするなよ?」

「せんせー、変なチャチャってなんですかー?」

「冬馬、そういうのを変なチャチャって言うんだ」


赤い髪はいつでも冷静だにゃ!
こういう落ち着いた男こそ、好きな女の子の前ではデレデレするに違いないんだにゃ!間違いないにゃ!


「……ミィ、なんか言いたげな顔してるな、お前は…」


カンもするどいにゃ!
多分来年あたりはこの人はわたしとお話出来る気がするにゃ!22世紀のこんにゃく食べなくても大丈夫だにゃ!


あ!また!!
ご主人様、にやにやしてるにゃ!
…モンクチゴールド持って来てってメールに足しといて!てか、ご主人様もたまにはモンクチゴールド買ってくれってんだにゃ!!


「30分くらいしたら来るって。…エミちゃん来るんだったらもうちょっと片付けとかないと…」


そうだにゃ!エロ本隠す方がいいにゃ!嫌われちゃうにゃ!あ、布団も干しといた方がいいんだにゃ!にゃ?今日も一緒に寝るんでしょ?にゃーにゃー!お風呂も一緒に入るにゃ?わたしも一緒に入るにゃ!


「……冬馬。お前、いい加減にしろって…」

「え?」

「…さっきから、お前、猫口調でミィの代弁みたいなことして…って、春も肩震わせてないでなんとか言ってくれよ」

「……いや、笑ってないぞ」

「声が上ずってるんだけど」

「ナッキーはむっつりスケベなんだにゃ!エミちゃんは脱いだら結構…」

「コラァ!冬馬!!」

「えー?絶対ミィだってこういうこと考えてるって」

「んなわけないだろ!てか、ミィが思ってようが何だろうが、布団がどうとか風呂がこうとか。変な妄想膨らませるのやめろよ」

「…顔真っ赤にしちゃって。ナッキーかわいいにゃ!」

「ミィはそんなこと思ってない!」

「なーうぅ………」

「ほら、ミィだって思ってるんだよ。このタイミングでお前の膝に乗るとか、絶対ミィのアプローチだろー?」

「ミ、ミィー……」

「にゃーぅぅ…」






冬馬くんの代弁は全部が全部正しくはないけど。

一つだけあってるんだにゃー。



Crazy about you.
(あなたに首ったけ)



それだけはあのこにだって負けないって、思ってる、んだにゃ。



…あ、モンクチゴールドは毎日でも食べたいのが本音だにゃ。

毎日でもご主人様と一緒に、がいいんだにゃ!


 


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