芸恋小説 | ナノ

たじろいでしまったことを知られてはいけない。気付かれてはきっと、この人はもうやめておけと言うだろうから。

すでに乱れたシーツの上で腰掛ける松田さんとその前で跪く私の間に一瞬の沈黙が漂った。意気込んだものの、いざ目の前にすると、思っていたよりもあったその存在感にきっかけを奪われてしまったようで。それまで部屋に満たされていた恋人同士の蜜な空気がふ、と途切れたように思えた。

気を取り直してそっと唇を開く。

…このミッションを遂行するって決めたんだから、絶対。最後まで。……最後、まで。……あれ、最後って、

最後って、どこ?


「…………」
「エミちゃん?」
「…………」
「エミちゃん?だいじょぶか?」

中途半端に口を開いたまま止まっていた私に、松田さんが心配そうな声をかけてきた。

「え、あ、ハイ!」
「……あんな、そんな無理してすることちゃうし…な?もうその気持ちだけで俺十分やから…」
「い、いえ。違うんです」
「や、ほんまええから……な?ほら、こっちおいでえや?な?」

優しく誘う松田さん。そっと掴まれた腕が引き寄せられて、二人の距離が少し縮まった。より迫る松田さんの、モノ。あ、近い、と。もうこれ以上モタモタ出来ない、と焦りつつ再び口を開いた。ここまできたら、もうあとは勢いだけ。

「は………んむ」
「………っ」

松田さんが息を止めたのか飲み込んだのか。私の顔を挟むように開いた両膝に、きゅ、と力が入ったのがわかった。

口いっぱいに詰め込むように含んだ松田さんのそれは硬い塊で、生あたたかく弾力があった。それを確かめるように舌でそっと舐めあげると、松田さんの身体は再び不自然に揺れる。

「ちょお……あ、エミちゃ…」
「……ん……」

そっと根元に手を添える。動きを制してしまえば、私の意図するがままに転がすことができるだろう。この密かな征服感が私の胸を奮わせる。私の手のひらの上でころころと悶え顔を歪ませる松田さんがもっと見たい。頭上で聞こえる深く湿った溜息が私を捕えて離さない。みぞおちの奥がきゅうっと小さくなって、その痺れが下腹部を刺激した。なんだろう。触れられてるわけじゃないのに気持ちいい。もっともっと体感したい。松田さんの熱そのものを、もっともっと、もっと。

あ、なんだか、私まで。なんか……。

「……んふ」
「あ、………うぅっ」


優しく握った根元を目指して、喉が許す限り奥まで頬張ってみる。息を吸い込みながら、唇全体が触れるように口から松田さんを滑らせながら吐き出した。すでに私の唾液で濡れたそれはぬるりと簡単に姿を現す。そしてそれをいいことに、私はまた喉の奥まで隠し込んでみた。
じゅぷりじゅぷり、と顔を動かすたび沸く音に取り憑かれるように吸い上げて飲み込んでを繰り返す。

時々ねじるように舌を添えれば、いっそう松田さんは熱っぽい吐息を漏らした。先のほうに滲む白濁を味わいつつ舐め取る。ぶるっと彼の身体が奮えた。

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