経過する時間と変わらない世界
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 ここにきて一週間。人をもう何人か殺したか覚えてない。

ここの人間は品もセンスもなく人を殺しに掛かる。めんどくさいったらありゃしない。着替えなんてないのに、私の服は返り血で汚くなっていった。転生とはこういうものか、私は人を殺さないと生きていけないらしい。



私はここでも特殊だった。大きな獣の耳と、緑に光り、光の加減で虹彩の大きさが変わる獣の目を持っていた。前世の咎だと言われれば納得した。そりゃ、咎があるような生き方だったもの。けど、その前世で得た能力で私はいま生きている。




 ここに来て二週間。私は逃げていた。人間ならまだいい。殺す方法は知っている。



けど、人間じゃなかったらどうすればいい?



気持ち悪い生物、私はあれをエイリアンと呼んでいるのだけど、そのエイリアンから逃げるべく私は駆ける。

駆けてるうちに、黒い着物の死神がきた。あの死神というやつは、この世界では警察のような組織らしい。頻繁に出現するエイリアンを退治していた。

けどあいつらは、いつも来るわけじゃない。十回のうち半分以上はいない。しかも、来るのが使える死神だとは限らない。戦い方が下手くそなやつは、死んでしまう。本当に頼りない。




 ここにきて三週間。私は刀を見つけた。切り株に刺さっていたやつだ。たぶん死神が持っていた小さな刀。その刀はエイリアンを切ることができた。死神の戦い方を見ていて気づいたのだが、顔面を両断すればいいらしい。



 ここに来て一カ月。奇妙な話を聞いた。ここの人々は腹が減らないのだと。私は普通に腹が減り、水を飲み、動物を狩り、肉を食った。何故かと問えば、霊力を持っているからだという。そうか、霊力が無ければ腹が減らずに済んだのか。少し、己の能力を悔いた。



 ここに来て二ヶ月。私は目標を決めた。この殺してばかりの生活を止めよう。そのために、平和なところに移住しよう。私は番号が若い地区を目指して歩を進めた。





20140928



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