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 娼婦の殺人事件が相次いでいるらしい。それはまた残酷だなぁ、と思って新聞を眺める。ジャックザリッパーだなんて小説のような洒落た名前だな、と私はぼんやり考える。

「ひなた、」 

「はい、先生」

窓辺でうつらうつらしていれば、いつもの様子の葬儀屋がやってきた。

「少し出掛けようか」


私は葬儀屋に連れられて、とある建物に来ていた。下では貴族たちが騒がしくしていた。

「あれはこないだの伯爵殿ですか」

「そう、なにか気づいたことはないかい?」
 
「気づいたこと…」

 私は伯爵の周辺にいる人物を一人一人確認する。すると、一人だけ違和感を感じる人物がいた。
私は葬儀屋に断って死神の姿になると、霊絡を確認してみた。するとやはり、色は赤。

「あのご婦人が連れている執事…彼は死神ですね。もちろん、この世界の」

あなたと同じじゃないですか、そう言って葬儀屋を振り向く。葬儀屋はにんまりと笑って私を見下げた。彼と私はお互いに秘密を共有している。

 私にはもう一つ気になる点があった。握っている霊絡を見て考える。


「あの伯爵殿が連れている執事…彼は……?」


彼の霊絡は黒だった。



20141010


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