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半年して最上階まで制覇した私は2、3年は不自由なく暮らせるだろう金を手に入れた。それに百代をあのお兄さんから取り戻さなくてはならない。最低限の荷物を四次元リュックに詰めて、私は天空競技場を後にする。否、しようとした。

「君、黒崎さんだよね?」

「さぁ?人違いでは?」

変化を解いた素の私に黒崎かと声をかけてきた男はは、ぱっと見ごく普通の好青年だった。

「君の噂は聞いていたよ。天空競技場の死神。瞬きをする間に敵を倒す音速の殺人鬼。いろいろ呼び名があるみたいだけど、まさかこんな小さな子が黒崎だなんてね」

「私には関係ないのですが」

瞬歩で駆けてしまおうと、霊圧を脚に込めた。その瞬間男がニヒルに笑う。

「ほら、黒崎じゃないか」

「は?」

「僕は解るんだよ。そういう力を持っている」

彼の手にはいつの間にか鏡のような何かが握られていた。ニコニコと笑う好青年にも関わらず、醸し出す雰囲気は、自分と同じ匂いがする。

「僕はナユタ。会社を経営している。君にはそこのとある部署で働いてほしくてね」


「この力は念と言って、特別な力だ。君さえ良ければ発現させてあげることも出来る」

「君に何か目的があるなら手伝ってあげよう、君が僕のビジネスを手伝う替わりにね。」

「悪い話じゃないだろうし、どうだい?」

そう言った男はいつか遠い世界で出会ったあの策略家で狐のような元隊長に似てるような気がした。


20141003

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